
前回、薄毛が気になってきたあなたにとっての強い味方、育毛剤などに今多く含まれている成分をご紹介しました。
盛んに宣伝される製品の中に含まれる「ミノキシジル」や「フィナステリド」などは、よくご存知でしょうが、実はそれ以外にもまだ知られていないが、育毛効果などに優れたものがたくさんあるのです。
ここでは、それら育毛に役立つ各成分の効用や使用に当たっての注意点などをご紹介します。
この記事は大阪AGA加藤クリニック加藤健太郎医師の監修で制作されています。
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アムラの実
概要
アムラは、アジアを中心に海抜1500m以上の地域に生育するトウダイグサ科の木です。 その実には、身体の老化を防ぎ、整腸作用や肌の潤いを保つなどのいろんな効能があり、インドなどでは古くから愛用されている植物です。近年、日本でも主に美容面で注目され、化粧品やシャンプーなどに使われることが多くなってきました。
効果効能
【頭皮環境を整える2つの効果】
① 「β-グルコガリン」と云う成分が含まれ、ワイルドヤムなどに含まれるサポニンと同じような強い抗酸化作用があります。頭皮が酸化すると、通常の発毛・脱毛サイクルが乱れ、発毛が遅くなったり、脱毛が増えたりするのですが、その酸化を防ぐことで、サイクルを健康的な状態に保ちます。 ② 抗菌作用で、頭皮に菌が発生することで起因する、フケやかゆみを防ぎます。 以上のように、アムラは頭皮環境を整える面では効果的な成分で、シャンプーなど日常的に使用することで、健康的な頭皮の維持が期待できます。
注意点
抗酸化・抗菌作用がある自然成分なので、副作用の心配はありません。
アルガンオイル
概要
アルガンオイルは、モロッコのみに生息するアカテツ科の樹木の果実から抽出されます。元々は皮膚再生を促進させるもので、主にニキビや湿疹、ひび割れ、やけど、水ぶくれなどの肌のトラブルに対して効果が認められていました。現在では洗顔剤などにも使われ、アンチエイジング的な役割を担っています。
効果効能
アルガンオイルに含まれる天然ビタミンEである酢酸トコフェノールには、頭皮の酸化を防ぎ、嫌な臭いを抑えると云った抗酸化作用や、保湿成分などと合わせて使えば効果的となっています。
注意点
原産国のモロッコでは、アルガンオイルを食用に使うほどで、副作用に関して特に問題にする必要はありません。
褐藻エキス(フコイダン)
概要
褐藻とは褐色の藻類植物のことで、ワカメやコンブ、ヒジキやアカモクなどのことです。 これらの植物から抽出したエキスを褐藻エキスと呼び、主成分としてフコイダン、アミノ酸、ジアスターゼ、アルギン酸、そして豊富なミネラルが含まれます。保湿作用や皮膚再生作用があり、美容製品などにもよく用いられています。
効果効能
よく昔から、ワカメやコンブは髪の毛に良いと云われてきましたが、その根拠となる成分がフコイダンです。 【褐藻エキスの2つの育毛効果】 ① イチョウ葉エキスに含まれるギンコライドなどは、毛乳頭に栄養素と酸素を運ぶ血液の血流を良くして、間接的に毛母細胞を活性化させますが、フコイダンは直接的に活性化させます。 ② アミノ酸は髪の毛のベースとなる成分の1つです。ミネラルの1種ヨウ素(ヨード)は、甲状腺機能を活性化させます。 ※アルギン酸は頭皮に塗布することで皮脂除去に効果があります。これはヌルヌルした特性から、毛穴の奥に入り込んで汚れや油を粘着し、洗浄と共に取り除くことが出来るからです。
注意点
ヨウ素(ヨード)は多量に摂取し過ぎると、逆に甲状腺異常を招く可能性があるので、長期間、毎日、大量の海藻類摂取は避けた方が良いでしょう。
グリチルリチン酸(グリチルレチン酸)
概要
グリチルリチン酸は甘草の根から抽出される自然成分で、甘草エキスとも表記されます。厳密にはグリチルレチン酸は別の成分ですが、全般的な効果・効能は同じです。一般的に甘草の名の通り、甘味料としてキャンディーの味付けに使われます。健康面では、消化性潰瘍などの治療に使われることもあります。
効果効能
グリチルリチン酸は現在販売されている多くの育毛剤やシャンプーに含まれ、フケやかゆみ・炎症を抑える働きをしますが、直接的な育毛効果は望めません。
注意点
高血圧や浮腫と云った副作用があるとされるので、1日の摂取量を200mgまでに抑え、それ以上の服用は控えましょう。
ケトコナゾール
概要
ケトコナゾールは抗真菌薬の1種で、エイズなどで免疫低下状態の患者さんが、菌に侵されてしまった時に投与されます。農薬にも使用される極めて抗菌力が高い薬品です。一般には水虫や皮膚カンジタなどの治療薬にも応用されている成分です。
効果効能
ケトコナゾールの1つ目の効果は、頭皮細菌(かび)によるフケやかゆみ、炎症を治します。抗菌力が非常に強く、頭皮の菌に対しても大きな効果が期待できます。2つ目の効果はまだ研究途中ですが、男性型脱毛症(AGA)に対して効果があるようで、フィナステリドやノコギリヤシと同じように、男性ホルモンを抑制して、薄毛の原因物質のジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑えられると云われています
注意点
ケトコナゾールは抗菌面、ホルモンバランスを変化させる面で効果は大ですが、その分、副作用もあるので注意が必要です。頭皮に塗布した場合、細菌によるフケやかゆみ・炎症は改善されますが、体質的に合わない場合や刺激が強過ぎた場合は、別要因の炎症が発症する恐れがあります。また内服時には、ノコギリヤシなどの副作用と同じように、男性ホルモン抑制による生殖機能の減退や性機能障害の起こる恐れがあります。妊娠中の女性は、ケトコナゾールに限らず、ホルモンバランスの変化を促す薬の服用は、胎児に悪い影響を与える可能性があるので、厳禁です。
酢酸トコフェロール
概要
酢酸トコフェロールは人工的に作られた合成ビタミンEの一種です。ビタミンEには、肌の酸化を防ぎ、末梢血管の血行を促進させます。中でも酢酸トコフェロールは油に溶ける性質により、化粧品やベビーオイルなどにも幅広く使われています。医学的にはトコフェロール酢酸エステルとも呼ばれます。
効果効能
お肌への効果と同じように、頭皮に対する抗酸化作用と血行促進作用が期待できます。頭皮の酸化防止は、かゆみ・荒れ・湿疹などのトラブルを未然に防ぎ、頭皮の嫌な臭いを抑えます。また頭皮血行の促進は、毛母細胞への血液循環量を増やし、細胞分裂を活性化させて髪の成長を促します。近年、育毛剤やトニック商品に配合されることが非常に増えています。
注意点
直接的な副作用はありませんが、過剰な口腔摂取は胃腸への負担や中毒症状を招くことがあります。過剰摂取による骨粗しょう症を招く恐れも研究発表されています。各商品の用法・用量をしっかり守って適量摂取を心掛けてください。頭皮などに塗布する場合は、人によっては、アレルギー症状(アレルギー性皮膚炎)を引き起こすこともあるので、かゆみやかぶれを感じた方は注意しましょう。
ソウハクヒエキス
概要
ソウハクヒエキスは、クワの根を乾燥して抽出するエキスで、抗酸化作用を持つフラボノイドを多く含んでいます。また、紫外線を防ぐ効果があることから、育毛商品以外にも美白化粧品などにもよく配合されています。
効果効能
頭皮や毛穴が酸化すると、健康な毛髪が生え難く,臭いの原因にもなりますが、これを防ぐ抗酸化作用効果のある育毛成分です。また、頭皮保湿の効能も認められます。ただ、これらは直接育毛に役立つわけではなく、他の成分の補助的役割が大きいです。
注意点
本来的には紫外線によるダメージ防止や美白を目的とした化粧品などによく使われる自然成分ですから、副作用の心配は特にありません。
バイオポリリン酸
概要
バイオポリリン酸はポリピュアEXという固有の育毛剤に含まれ、独自開発され特許を取得している成分です。
効果効能
公式サイトの表記には、小さく「バイオポリリン酸※酵母エキス:保湿成分」と書かれており、育毛商品としての役割は保湿という、単体では発毛効果の弱い、補助的役割のように思われます。
注意点
単なる保湿成分ならば、用量を大きく間違えない限り、副作用の問題はないでしょう。
パルテノライド(フィーバーフュー)
概要
パルテノライドは夏白菊の葉に含まれる成分の1つで、英名フィーバーフューとも呼ばれます。育毛以外にも近年、医療全般で注目を浴びて研究が進められています。ガンの転移抑制やリウマチ、関節炎、花粉症などのアレルギー疾患に一定の効果が認められています。
効果効能
当初は、炎症を抑える効能が頭皮環境を整えるとして、育毛に効果があると云われてきましたが、近年、男性ホルモンへの影響が発毛効果にも関係していると注目されています。 毛母細胞の活動を抑えて薄毛につながる原因物質NF-kB転写因子を、パルテノライドは阻害する効果があり、その結果としてジヒドロテストステロンの抑制につながるようです。ノコギリヤシやフィナステリド、オウゴンエキスなどの効能に近いものがあり、現在では、育毛サプリメントを中心に、パルテノライドが含まれる育毛商品が増えています。
注意点
基本的にハーブから抽出される自然成分なので、副作用を心配する必要はありません。最適用量としては、パルテノライド単体で1日5~10mg程度とされています。
パンテノール
概要
パンテノール(パントテニールエチルエーテル)は、お肌の保湿や皮膚細胞を活性化させるアンチエイジング的効果が期待され、化粧品の含有成分として広く使われています。体内でビタミンに変化するプロビタミンと呼ばれる物質でもあります。毛髪をビタミンで補修すると云うCMで知られる、P&Gの「パンテーン」は、このパンテノールを主成分として、ブランド名の由来になっています。
効果効能
【頭皮に対する3つの効果】 ① 毛母細胞に働いて、細胞分裂を活性化させ、髪の毛の成長を促進させます。 ② 保温クリームの成分として使われることが多く、頭皮に対する保温効果も有効です。 ③ 頭皮の新陳代謝を高め、老廃物が溜まり易くなる頭皮状態を防ぐ効果があります。クコの実などに含まれるゲルマニウムでも類似効果が得られますが、いづれも成分単体としては、大きな効果があるわけではなく、育毛商品では補助的に使われる場合が多いようです。 持続的な潤い、ハリ・コシを与える栄養成分として毛髪に対して有効な成分と云えます。
注意点
基本的にはビタミンと同様の成分ですから、副作用の心配はありません。
ヒノキチオール
概要
ヒノキチオールは樹木抽出成分の一種で、シダやヒバに含まれる不飽和七員環化合物(単環式モノテルペン)、芳香族化合物に分類されます。1936年台北帝国大学の日本人教授がタイワンヒノキから発見し命名されました。一般的には、殺菌・抗菌作用、消炎作用、皮膚浸透作用があります。最近では特に殺菌・抗菌作用が注目され、防腐剤の役割としてヒノキチオールを含む化粧品などが増えています。
効果効能
強力な抗菌作用でフケやかゆみを防ぐのはもちろんですが、もう1つの重要な効果として、毛母細胞の活性化が挙げられます。男性ホルモンのテストステロンが酵素と結びついて、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換されることで、毛母細胞の活動が抑えられ薄毛が進行します。ノコギリヤシの場合は男性ホルモンを減らすことで、毛母細胞の活性化につなげますが、ヒノキチオールはホルモンバランスに影響を与えずに、毛母細胞を直接的に活性化させる効果があるようです。
注意点
現在まだ、研究途中のヒノキチオールですが、毒性・催奇性(※奇形を生じさせる性質)があると、マウス実験などでは確認されています。但しこれは、体重の約20%以上の量を服用した場合なので、育毛サプリメントなどに含まれる場合、基本的には問題ないでしょうが、用量をしっかり守って使用しましょう。
プロアントシアニジン
概要
プロアントシアニジンはポリフェノールの1種で、ブドウエキスを始めとする多くの果実、お茶、大豆、樹皮など幅広い植物に含まれます。プロアントシアニジンには、強力な抗酸化作用があり、アルガンオイルやソウハクヒエキスなどと比較しても、より大きな効果が期待できます。
効果効能
頭皮が酸化して、発毛サイクルが乱れやすくなると、発毛が遅れたり、脱毛し易くなり、嫌な臭いを発生しますが、プロアントシアニジンは強力な抗酸化作用で、正常な状態に戻します。従来はサプリメントで服用するのが一般的でしたが、近年は直接、問題箇所に塗布する目的でシャンプーや育毛剤も増えてきました。
注意点
副作用の事例は特にありませんが、決められた量以上を服用や塗布しても、効果に変わりがないようなので、指定用量を守って継続的に使用することが大事でしょう。
ミレットエキス
概要
ミレットエキスは、イネ科の植物キビやトウジンビエから抽出されるエキスです。ヨーロッパでは昔から、女性の妊娠や産後の抜け毛対策として利用されていましたが、現在では、育毛サプリメントとして、濃縮エキスが多く出回っています。
効果効能
ミレットエキスには、シスチン、ロイシンなどのアミノ酸、ミネラルの1種であるケイ素、タンパク質やビタミンB2、ビタミンB6など、毛髪に良いとされる多くの栄養素が含まれる自然成分です。毛髪はケラチンと呼ばれる細胞骨格を形成するタンパク質から出来ていて、そのケラチンを生成するのがシスチンです。ケイ素には、体内結合組織を強固にする働きがあるので、毛髪と頭皮の結合を強め、通常の脱毛・発毛サイクルより早く脱毛することを防ぎます。
注意点
成分の1つであるシスチンを過剰に長期服用すると、腎臓にダメージを与える恐れがあるので、用量には注意して服用しましょう。
ワイルドヤム
概要
ワイルドヤムはメキシコ原産のヤマイモ科の植物で、主成分は植物エストロゲンとサポニンが挙げられます。植物エストロゲンは、イソフラボンなどにも含まれますが、体内でエストロゲン(女性ホルモン)に似た働きをするとされています。一般的に、女性ホルモンが減ると引き起こされる更年期障害の緩和や美容におけるアンチエイジング効果があると云われています。
効果効能
育毛においては、主にホルモンバランスを変化させる効果が注目されています。体内で男性ホルモンが増えると頭髪が薄くなりますが、植物エストロゲンを含むワイルドヤムを服用することで、女性ホルモンを補完して、結果頭髪を濃くすることにつながります。また頭皮が酸化して通常サイクル以上に脱毛が増えたり、発毛し難くなる面を、もう1つの主要成分サポニンは、抗酸化作用でその状態を回避して、頭皮を正常な状態に保ちます。
注意点
副作用の心配としては、生殖機能に影響を与える可能性があります。過剰な量の服用や長期間服用は、その終了後に影響を残す可能性があるので注意しましょう。ですから、ホルモンバランスが不安定な妊婦さんには当然服用はNGです。
いかがでしたか、育毛剤やスカルプシャンプー、サプリメントなどに含まれる成分のご紹介でした。それぞれの効果・効能や副作用などを知った上で、賢く利用しましょう。 是非、参考にしてみてください。

総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意とします
高い技術と広い見識に加え、患者それぞれの生活に寄り添う専門治療が評判です
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員