一人で悩まないで専門医にご相談ください
円形脱毛症は難治性、再発性皮膚疾患であり、これといって有効な治療法というのは確立していないのが現状ですが、主な病因の一つとして、遺伝的背景をもとにした自己免疫疾患である可能性が高いと言われております。病変部毛包部の周辺にリンパ球が浸潤していて毛包がダメージを受け脱毛症状を引き起こしていると考えられております。
その他サイトカイン、液性免疫、アポトーシスなどに関連した病態もあきらかになりつつあります。円形の病変部(禿)10円玉くらいの単発型~多発型、全頭型、汎発型まであり、当院の患者様も様々で著明に効果をあげてすぐに治癒してくれるものもあれば、残念ながら難治性で患者様ご本人の心理的な苦痛も強く、あらゆる治療に苦慮することも少なくありません。
円形脱毛症の発生頻度は全人口の1~2%と推定されておりますが、中には病院に受診しない方も多いと考えられ、実際どれくらいの患者様が悩んでいるかは不明です。その中で一人でも美容的、心理的な苦痛から解放できれば幸いです。
円形脱毛症が数個のタイプ。
円形脱毛症の中ではもっとも軽度な症状とされており、放置しておいても3ヶ月から半年で毛が生えてきて、1年程度で大半の方は自然に治ることが多いですが、稀に重症なタイプに移行することがあります。
円形脱毛症が複数個のタイプ。
複数個が融合している場合は単発型に比べると処置が難しいものが多く、再発を繰り返しやすいと言われています。
発症前に自覚症状はほとんどないと言われていますが、脱毛前に軽いかゆみや違和感、赤い隆起が見られる場合がありますので、違和感を感じた場合は医師に診察を受けていただくことをお勧め致します。
円形脱毛症が頭部全体に広がってしまうタイプ。
全頭脱毛症を発症すると、脱毛範囲が広範囲に及ぶ為、治癒するまでに数カ月~数年単位で時間がかかることが予想されます。
多発型から進行することもあり、円形脱毛症の症状の中でも症状が重く、処置が難しいので、早期治療をお勧め致します。
頭部だけでなくまつげやまゆげ、首から下の体毛まで抜けてしまうタイプ。
体毛まで抜ける症状がある場合は汎発型と呼ばれる円形脱毛症で、円形脱毛症の中では最も重度の症状です。
頭部の毛だけが抜ける全頭型より更に処置が難しい為、直ちに治療を開始することをお勧めします。
突如、急激にびまん性に脱毛を生じ、発症後数カ月で頭部全体の髪が抜け落ちるタイプ。
全頭型脱毛の特殊型で、髪がすべて抜け落ちると同時に新しい髪も生え始める為、発症から4~12ヶ月程度でショートヘア状態にまで回復しますが、治療を行うことで早期改善が可能な症状です。
多くの例で、整容的に問題ない程度まで改善する為、比較的円形脱毛症の病型のなかでも予後が良好と考えられており、主に20~40歳代の女性に多いとされていますが、男性でも発症する可能性があります。
「十分な睡眠と休息」「規則正しい生活」「バランスの良い食事」などが、求められます。
初期症状や軽い場合は、グリチルリチン、セファランチンなどを服用します。
急激な進行の場合に処方することが多く、高い効果が期待できます。
ただし、長期間の使用では糖尿病などの副作用を引き起こす可能性がある為、服用は2~3ヶ月に留め、長期服用はできません。
また、小児には成長に障害が出る可能性が考えられる為、処方できません。
軽い症状に対し、ステロイド、塩化カルプロニウムなどを患部に塗布します。
進行型の症状に対する治療法ですが、痛みを伴い、その上、注射した部分にしか発毛せず、その部分がへこむという副作用が起こることもあります。
進行型の症状に対する治療法で、免疫状態改善のため、患部に雪状のドライアイスを軽くあてて、刺激を与えると云う方法です。
近年、円形脱毛症の原因は自分の毛根を他人のものと誤って判断し、白血球のうちのリンパ球が自分の毛根を攻撃して抜け毛が起こる「自己免疫疾患説」が有力とも言われています。
この説からSADBE(Squaric Acid Dibutylester)やDPCP(DiphenyCyopropenone)という試薬を脱毛部に塗り、患部表面に対し人工的にかぶれを起こして毛根を攻撃しているリンパ球を患部表面に集中させることで、毛根に対する攻撃を抑えられるといわれており、有効なら2、3ヶ月で発毛が見られ、現在では最も効果的な治療法のひとつとなっています。
また、この治療法は世界的にも評価の高い方法で、ステロイド局注とともに日本皮膚科学会の円形脱毛症のガイドラインのBランクに推薦されています。
有効率は60~90%とされており、全身的に重篤な副作用もなく、また発癌性もありません。
副作用としては、かゆみ・局所の赤み・腫れ・色素脱失・蕁麻疹・アトピーの悪化などですが、炎症が強すぎると全身に赤み、痒み、腫れが起こる可能性もあります。
病気や傷から体を守る免疫系最近やウイルスから身を守る細胞の一種。本来は体を守ってくれる存在です。
いつのまにか毛根への勘違い攻撃を忘れ、皮膚表面の炎症を抑える働きをはじめるため、勘違いリンパ球は正常な状態に戻ります。
炎症が起きている患部の治療にリンパ球が集中することにより、毛根への勘違い攻撃はいつのまにか忘れられ、順調に毛が育ちます。
リンパ球は皮膚の炎症を治療し終わると自分自身を攻撃していたことを忘れ正常な働きを取り戻します。このリンパ球の働きをうまく利用し、円形脱毛症の原因である「自己免疫疾患」を治療していきます。
治療の第一段階として、試薬(SADBE/DPCP)を体に認識させます。これらの試薬は自然界には存在しないものであり、試薬を塗布し、24時間放置します。その塗布した部分が1~2週間後に赤く腫れ、かぶれた状態になればリンパ球が試薬を認識したと判断し、この流れを感作といいます。
感作したことを確認すると第2段階の治療に進みます。試薬をどれくらいの濃度にするか判定し、始めは2万分の1程度に薄めて、塗布し、2~3週間に1回塗布して効果の様子をみます。この際、人工的にかぶれを引き起こすことで、毛根を攻撃しているリンパ球の作用を抑制し、発毛を促します。
濃度が決定したら2~3週間に一度患部に試薬を塗布し、定期的に治療を継続します。3~4ヵ月後に効果をみて、発毛していればしばらく治療を続けていきます。ある程度発毛したら治療回数を減らし、なかなか効果がみられないようであれば、その他の治療法も組み合わせたりしながら長期間の治療を行うこともあります。月に一度は必ず医師に診察してもらい経過を確認させていただきます。
当院では隔週木曜日に特殊外来円形脱毛症の専門医師が診察を行います。
専門医師ご希望の際はご予約時に当院スタッフまでお知らせ下さいませ。
当院では隔週木曜日(梅田院のみ)に特殊外来円形脱毛症の専門医師が診察を行います。
専門医師ご希望の際はご予約時に当院スタッフまでお知らせ下さいませ。
円形脱毛症の治療法 | 回数・個数 | 料金 | 頻度 |
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円形脱毛症血液検査 | 1回 | 15,000円 | 初回のみ |
局局所免疫療法(SADBE/DPCP)パッチテスト(感作) | 1回 | 3,500円 | 初回のみ |
局所免疫療法(SADBE/DPCP) | 1回 | 5,500円 | 毎週1回~2週間に1回 |
ステロイド局注(ケナコルト) | 1回 | 6,000円 | 2週間に1回~月1回 |
ステロイド外用(アンテベートローション) | 1本(10g) | 800円 | 1日3回患部に塗布 |
内服薬(セファランチン) | 90錠 | 6,200円 | 1日3回内服(朝・昼・晩) |
男性用総合発毛治療薬 PRO HAIR+(A・B・C・Dタイプ) | 30カプセル(1ヶ月分) | 26,500円 | 1日1カプセル内服 |
女性用総合発毛治療薬 PRO HAIR+(FA・FB・FC・FDタイプ) | 30カプセル(1ヶ月分) | 16,000円 | 1日1カプセル内服 |
プレドニン内服薬(ステロイド内服) 1mg | 1錠 | 60円×個数 | 医師の処方により変動 |
プレドニン内服薬(ステロイド内服) 5mg | 1錠 | 85円×個数 | 医師の処方により変動 |