「わかめを食べると髪が増える」「白髪は抜くと増える」など、昔からいろんな迷信や都市伝説のようなものが独り歩きしているようです。
ここでは髪にまつわるウソ、ホントをまとめて、正しいヘアケアを紹介しましょう。
この記事で説明する内容は?
総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長 加藤です
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意としています
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員
髪の毛にまつわるウソ、ホント
薄毛は遺伝する→ホント
人の遺伝子には、X染色体とY染色体があり、男性はXY、女性はXXとなっています。AGA(男性型脱毛症)の遺伝子はX染色体のAR遺伝子に存在するので、AGAを持ったX染色体が遺伝すれば、薄毛になる可能性が高くなります。男性になるためにはXY遺伝子が必要だから、男の子は父から必ずY染色体をもらう必要があります。そのため仮に父にX染色体にAGAが存在していたとしても、兄弟には遺伝しません。遺伝するのは母のX染色体のみです。AGA専門クリニックで問診を受ける際に、「母方の男性に薄毛の人の有無」を聞きます。これは、AGAの遺伝子は母方から遺伝するためです。だから、父親が薄毛でなくても、母方の祖父が薄毛だと、十分に薄毛になる可能性があります。よく言われる隔世遺伝ですね。 ただ、遺伝的要因は約70%程度と云われ、100%薄毛だと決まっているわけではありません。
白髪の人は薄毛にならない→ウソ
白髪の人は薄毛にならないと信じている方は非常に多いようですが、これは全くのウソです。年をとると、髪の毛は脱毛して薄毛になるか、白髪になってもフサフサのままの、2つのタイプに分かれると信じている方も多いようです。脱毛して薄毛になるパターン(AGA)は、男性ホルモンがDHT(脱毛ホルモン)に変化して、脱毛を促して脱毛します。ですから、白髪であっても男性ホルモンは存在するし、実際に薄毛になる人もたくさんいます。白髪は加齢による老化とともに、髪の毛にあるメラミン色素がなくなってきた証拠なのです。ただ、白髪を造る毛乳頭細胞と、黒髪を造る毛乳頭細胞では、DHT(脱毛ホルモン)の受け易さが違うのかどうかの研究は、まだ証明されていません。
ストレスで薄毛になる→ウソ
ストレスのかかった生活をしていると、目立って薄毛になってきたと思う方が多いようですが、これも全くのウソです。AGAの原因は男性ホルモンがDHT(脱毛ホルモン)に変化して、脱毛を促すもので、ストレスが大きくなってDHTの量が増えたり、作用が強くなったりすることはありません。ストレスとの関連性が深いと云われる円形脱毛症についても、一概にストレスがかかるとハゲるとは言い切れません。ストレスが直接的な原因になっているのではなく、もともと円形脱毛症になり易い体質の人が、ストレスを引き金として円形脱毛症を発症すると考えられています。
女性は薄毛にならない→ウソ
女性は薄毛にならないと信じていませんか?これは迷信で、女性も薄毛になるし、実際に大幅に薄毛とはいかなくても、薄毛に悩む女性はたくさんいます。因みに女性の薄毛の約50%がFAGA(女性における男性型脱毛症)といわれています。欧米では男性ホルモンの働きかけによる血中の男性ホルモン値異常といわれていますが日本では同様の報告はありません。 AGAというのは男性特有のものではなく、男性ホルモン型という意味なので女性の体内にも男性ホルモンが存在し、FAGAになる可能性はあるのです。ただ、女性と男性のAGAの最も大きな違いは、その量が男性の10分の1程度なので、脱毛を促すDHT(脱毛ホルモン)の生産量が少なく、脱毛の程度が少なくて、女性のFAGAは男性に比べて非常に治りやすいと云うことです。
安いシャンプーを使うと薄毛になる→ウソ
価格が安いシャンプーを使うと髪や頭皮に悪いから薄毛になるとよく聞かれますが、これもウソです。髪の毛を生やす細胞は、頭皮の毛穴のさらに奥、数ミリ入った処にある毛乳頭を取り巻くようにある毛母細胞です。シャンプーでどんなにゴシゴシ洗って、頭皮の洗浄は出来ても、毛穴のさらに奥にある毛母細胞までには、シャンプーの成分が届かないのです。 ですから、髪を生やす毛母細胞に影響を及ぼさないので、薄毛になることはないと云うことになります。ただし、頭皮の外側にある髪の毛は、粗悪なシャンプーを使うことで傷んで、細くなったり、チリチリになってしまうことがあります。強くブラッシングしすぎると、髪の毛の表面のキューティクルが剥がれて痛んでしまいます。それでも、先端の髪の毛は痛んでも、毛母細胞から新しい髪の毛が生えて、古い髪の毛を上に押し上げていくので、薄毛になることはありません。
髪を洗い過ぎると薄毛になる→ウソ
髪を洗い過ぎると薄毛になるというのも、よく世間で語り継がれていますが、これもウソですね。AGAは男性ホルモンが関係する脱毛症なので、身体の中の問題です。髪の毛は頭皮の外側に生えている部分ですから、AGAとは全く関係がありません。髪の毛を造る毛母細胞は、頭皮の毛穴のさらに奥、数ミリの処にあるので、シャンプーの成分は届かず、髪の毛を造る細胞に影響されません。でも、髪の毛を洗い過ぎると髪の毛が傷むことはあります。 頭皮に爪を立てて洗うと、頭皮を傷つけ、細胞を修復する過程でフケが発生します。頭皮は指の腹で優しく洗うのが基本ですよ。逆に髪の毛をほとんど洗わなくても薄毛とは関係なく、ずっと昔は月に一度の洗髪でも、薄毛になる割合は今と変わらぬ30%程度だったといわれています。
帽子などで頭皮が蒸れると薄毛になる→ウソ
帽子やヘルメットなどを日常的に被っていると薄毛になり易いと聞いたことはありませんか?いいえ、これも大ウソです。男性の薄毛の約90%はAGAによる脱毛症で、原因は体内の男性ホルモンが原因です。AGAは男性ホルモンがDHTという脱毛ホルモンに変換されて、毛根の奥で髪の毛を造る毛母細胞に働きかけて、脱毛を促します。ですから、これは体内で起こったことが原因です。それに対して、頭皮が蒸れると云うのは、頭皮の体外で起こったことなので、薄毛とは何の関係もないのです。
直射日光(紫外線)を浴びると薄毛になる→ウソ
直射日光によって、紫外線をたくさん浴びると薄毛になるということは、特にレジャーやスポーツをする若者の間でよく云われています。でもこれは全くのウソですね。髪の毛の色の元、メラミンという色素は、紫外線に非常に強い性質を持っており、少々日光を浴びようと、薄毛になることはありません。薄毛になるとは髪が生えなくなると云うことなので、AGAによる薄毛の原因は男性ホルモンが関係する頭皮の内側の問題なのです。直射日光によって髪の毛はダメージを受けますが、頭皮の内側に存在する髪の毛を生やす細胞には、何のダメージもありません。
頭皮の脂が原因で薄毛になる→ウソ
体質的に頭皮が脂っぽいと、毛穴がつまり脱毛しやすいように思いますが、頭皮の脂が原因で薄毛になることはないので、これも全くのウソですね。育毛サロンや育毛シャンプーのCMによって、間違った知識を植え付けられているからですね。CMでは、「頭皮の脂が原因で毛穴が詰まり、皮膚呼吸が出来なくなって、脱毛する」などと云った触れ込みで、育毛サロンでは徹底洗浄が、育毛シャンプーでは徹底的に毛穴を洗浄しないと云って、商品を売るわけです。一見正しいようですが、頭皮の脂が脱毛の原因だという説は、19世紀にたてられた説で、今では完全に否定されています。AGAによる脱毛の原因は、男性ホルモンがDHTという脱毛ホルモンに変換されて、脱毛を促す仕組みになっています。この仕組みに頭皮の外側の問題である脂は全く関係しません。いくら頭皮を清潔にして脂が一切ない状態にしても、弱った髪の毛がまた太く長くなると云うことはあり得ないのです。
アスリートやスポーツ選手は薄毛になり易い→どちらとも言えない
アスリートやスポーツ選手は筋肉隆々の人が多くて、でも薄毛になる人が多いように思いませんか。現在、科学的には意見が分かれるところのようです。筋肉が普通の人より発達していると云うことは、身体の中に男性ホルモンの量が多く、作用が強いと考えられています。AGAによる脱毛原因は、男性ホルモンが脱毛ホルモンに変わることなので、その量や作用が大きい人ほど、脱毛ホルモンの影響も大きいと思われます。しかしまだ、仮説の段階に過ぎません。
毛深い人、体毛の濃い人は薄毛になる→どちらとも言えない
「すね毛や胸毛などの体毛が濃い人ほど薄毛になる」「髭が濃い人ほど薄毛になる」と云われますが、これはどちらとも言え切れないようです。科学的検証によると、AGAの原因は男性ホルモンが原因で、男性ホルモンがDHT(脱毛ホルモン)に変換されることで、脱毛が促進されるのです。男性ホルモンは男らしい身体を作る作用を持ったホルモンですから、体毛や髭が濃い人は、それだけ男性ホルモンの分泌量が多いと考えられます。すると、DHTという脱毛ホルモンの生産量が多くなって、脱毛する可能性が高まります。
育毛剤にまつわるウソ
今ネットでよく見られる「育毛剤にまつわるウソ」を5つ、集めてみました。
① 育毛剤を使えば髪が生える
皆さんは驚くかもしれませんが、育毛剤には発毛効果はありません。育毛剤に認められているのは、「発毛促進・育毛・抜け毛予防効果」といって、今あるあなたの髪を健康に育てるもので、「これを使えば髪が生える」「薄毛が治る」と云った表現は過大広告になりますよね。ただ、頭皮環境を整えたり、発毛を促進すれば、結果的には薄毛対策になる可能性があります。「育毛剤を使えば髪が生える」とは云えませんが、「髪が生えやすい環境を整える」効果は期待できるでしょう。
② 育毛剤で逆に薄毛になる
基本的に育毛剤を使って薄毛になることはありません。育毛剤は頭皮環境を整えて育毛や発毛を促すことが目的で、身体への影響に配慮された医薬部外品だから、毛が抜けるような作用はありません。医薬部外品は薬じゃないので、副作用は存在せず、副作用による薄毛や抜け毛はないことになります。でも、育毛剤が身体に合わなくて、頭皮に炎症などが起きて、結果的に薄毛が進行することはあります。また、育毛剤を使い始めた直後に、抜け毛が増える「初期脱毛」という現象が起こります。でもこれは、頭皮環境が整って、新たに生えてくる髪が古い毛を押し出すことで起こる現象ですから、髪が生える兆しだと思って、悲観することはありません。
③ 海藻成分で髪が増える
「わかめなどの海藻を食べていたら、髪が増える」と云うフレーズは、よく聞くのではないでしょうか? でも、これには科学的根拠がありません。ただ、海藻成分に全く意味がないと云うわけではありません。例えばわかめには、ヨウ素のように新陳代謝の働きをサポートするものや、髪の毛を作る際に必要なミネラルが豊富に含まれています。それからいえば、「髪の毛の成長によい成分が含まれた食材」と云うことはいえます。
④ 白髪に育毛剤は効果がある
「育毛剤の成分なら白髪にも良いだろう」と考える方も多いようですが、元々、育毛剤は髪を健康にして頭皮環境を整えるためのものです。それに対して、白髪の原因は加齢や遺伝、病気・薬の影響など、頭皮環境以外によることが多いのです。ですから、育毛剤を使用することで、白髪対策にあてることは難しいです。
⑤ 育毛剤は男女で共用出来る
夫婦共に薄毛に悩んでいるからと、2人で育毛剤を共用している人は要注意ですよ。でも、男女では薄毛の原因は異なるし、授乳中・妊娠中の女性使用は推奨していない育毛剤もあります。ですから、「男女兼用」とメーカーが表示していないものは、安易に共用しない方がよいですよ。現在では女性専用の育毛剤も多いので、女性は自分専用の育毛剤を使用することをお薦めします。
いかがでしたか、 「へぇ~、意外だな」と思ったことはありませんか。いろんな説が出回っていますが、ほとんど科学的根拠がないようです。バランスの良い食事や適度の運動・睡眠でアンチエイジングにつなげましょう。