円形脱毛症

円形脱毛症を治せる局所免疫療法のメリット・デメリット

頭にコインのような円形の脱毛班が出来る病気が円形脱毛症です。

比較的軽い「単発型」から、「多発型」「汎発型」「全頭型」などがあり、重度の場合には全身に症状が拡がります。

治療法にもいろいろありますが、最も効果的と言われる治療法が局所免疫療法です。

局所免疫療法が効果的な理由、治療の方法、向いていない症例について説明します。

局所免疫療法とは

局所免疫療法は、円形脱毛症の患部に人工的にかぶれを起こして発毛効果を促進する治療法です。

かぶれを起こす薬剤名から「SADBE療法」と呼ばれたり、カナカナ読みで「サドベ療法」と呼ばれたりします。

有効なら2、3カ月で発毛が見られ、現在では最も効果的な治療法のひとつとなっています。

世界的にも評価の高い方法で、日本皮膚科学会の円形脱毛症のガイドラインのBランクに推薦されています。

有効率は60~90%とされており、全身的に重篤な副作用の危険もありません。

なぜかぶれを起こすと毛が生えるのか?

脱毛が起こっている部位では、毛根の周囲に免疫細胞であるT細胞が集まっています。

T細胞が、何らかの原因で自分の毛根にある毛母細胞を破壊しているようです。

局所免疫療法は皮膚表面にかぶれを起こすことで、T細胞を皮膚表面に集めて毛根から遠ざけます。

結果的に毛母細胞の破壊を食い止めるといわれています。

局所免疫療法は、まだ理論的には解明されていない部分もありますが、臨床上、高い発毛効果が認められていることは間違いありません。

でも、日本ではまだ認可されておらず、日本で受ける場合には保険適用外で、自費治療となります。

局所免疫療法で円形脱毛症をどう治すの?

局所免疫療法は以下のような経過で治療が進みます。

  1. 感作
  2. 判定
  3. 継続
  4. 経過確認

感作

まず、試薬のSADEやDPCPを免疫系に認識させます。

自然界には存在しないこれらの試薬を塗布して24時間放置しておきます。

その部分が1~2週間後に赤く腫れてかぶれれば、リンパ球が試薬を認識したと判断されます。

これを感作といいます。

判定

感作を確認後、第2段階の治療である判定に移ります。

試薬をどのくらいの濃度にするのが適当かを判定する作業です。

最初は2万分の1程度に薄めた試薬を、2~3週間に1回の割合で塗布して効果を見ます。

人工的にかぶれを引き起こすことで、毛根を攻撃するリンパ球の作用を抑制して発毛を促します。

継続

濃度を決めたら、2~3週間に1回の割合で患部に塗布して、治療を継続します。

2~3ヶ月後に発毛効果が確認できたら、継続して塗布するようになります。

ある程度生えてきたら塗布の回数を減らしたり、効果が見られなければ長期間の治療になることもあります。

経過確認

月に1度、必ず医師による経過確認をしてもらいましょう。

局所免疫療法のメリット

局所免疫療法には以下のようなメリットがあります。

  • 有効性が高い

有効率60~90%と有効性が高く、内服薬や外用薬治療で効果が無かった人でも効果が得られることが多いようです。

    • 副作用の心配がほとんどない

      内服薬のような内臓に対する副作用の心配もほとんどありません。

      ステロイドなどの使用で副作用があって改善出来なかった方や、他の治療方法で改善が見られなかった方にもおススメです。

    • 治療費用が安い

      保険適用外のため、自費負担の必要がありますが、治療費は1回1,000円から3,000円と、それほど高額ではありません。

      • いろいろな円形脱毛症のタイプに適応

        円形脱毛症のタイプには単発型や多発型や全頭型や汎発型などがありますが、どのタイプにも効果的と云われています。

      • 女性・子供にも有効

        女性はもちろん、円形脱毛症の子どもにも有効とされ、治療を受けた多くの方々が効果を実感し、効果が出やすい方法です。

局所免疫療法のデメリット

局所免疫療法は有効性が高い治療方法と云われていますが、体質に合わない方も稀に見られます。

かぶれを引き起こすのですから、全身性接触皮膚炎になることもあり、アトピーがあれば症状を悪化させることもあります。

ただし、かゆみ・局所の赤み・腫れ・色素脱失・蕁麻疹・アトピーの悪化などの軽度の副作用は生じる可能性があります。

炎症が強すぎると全身に中毒疹やアナフィラキシーショックなどが起こる可能性もあるので慎重な治療が必要です。

もしこのような症状が出た場合は塗布を中止して、別の治療に切り替えることが必要になってきます。

副作用のない治療方法で行うなら、ドライアイスを使った凍結治療や漢方治療などがあります。

局所免疫療法を受ける場合は、皮膚科や発毛専門のクリニックを受診すれば、安心して治療が受けられます。

治療期間は半年から1年くらいと即効性ではないので、長期間かけて治療が行われます。

円形脱毛症の他の治療方法については以下の記事で詳しく説明しています。

円形脱毛症の原因

本来は体の防御機能であるCD8陽性Tリンパ球が、毛根部分の自己抗原(メラニン関連の蛋白)に誤って攻撃する自己免疫反応によって引き起こされる自己免疫疾患です。

自己免疫反応の結果、脱毛部分の毛根組織は委縮し障害されますが、リンパ球反応がなくなればまた元通りの毛が再生されます。

なぜリンパ球が誤反応するのかはまだ判っていません。

また、肉体的ストレス、ウイルス感染なども誘因の1つとされます。

ストレスやプレッシャーが無くなれば治癒するので、短期(6ヶ月程度)で完治することが多いようです。

円形脱毛症の原因については以下の記事で詳しく説明しています。

局所免疫療法まとめ

円形脱毛症は、痒みや痛みなどのように日常生活に障害を及ぼす程のものでないため軽視されがちです。

しかし、頭髪や体毛を全て失うと云うことは本人にとっては、大きなショックとなります。

それがきっかけで、ひきこもりや他人の視線を気にするあまり視線恐怖症や対人恐怖症になるケースも多くあります。

それがまたストレスとなって治療の妨げになることもあり、治療には周囲の気遣いが欠かせません。

円形脱毛症に悩んでいるあなた、一度、局所免疫療法を試してみてはいかがですか。

ぜひ気軽にAGA専門クリニックにお問合せください。

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