この記事で説明する内容は?
寝不足だとはげるって本当?
短い睡眠時間でも薄毛を改善させる睡眠習慣は?
多くの方を悩ませる男性型脱毛症AGAは不規則な生活習慣の積み重ねが原因の1つと考えられています。
生活習慣で特に注目したいのが良質な睡眠です。
AGA治療を行っても、乱れた生活習慣が改善されなければ思うような効果を発揮してくれません。
そこで今回は薄毛と睡眠の関係性、良質な睡眠のとり方を紹介します。
睡眠以外にもある毛髪や頭皮に影響を及ぼす生活習慣について以下の記事で説明しています。
総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長 加藤です
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意としています
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員
睡眠不足で薄毛になることはある?
薄毛や抜け毛の原因はAGA(男性型脱毛症)や円形脱毛症のほかに食生活、睡眠不足などによっても起こります。
また、睡眠不足がAGAやFAGAの進行を加速させてしまう事もあります。
それは、以下の3つの原因によります。
- 成長ホルモンの分泌量が減少
身体の細胞を修復し成長を促す成長ホルモンは睡眠時に多く分泌されています。 - 血行不良
睡眠中は副交感神経が優位になり、血管が広がって血行が良くなります。
睡眠時間が短いと血流が悪くなり、毛根に栄養が届きにくくなります。 - エネルギー代謝の低下
人間の体は睡眠で休息を取り生命活動のためのエネルギーを蓄えます。
睡眠が不足すると、体のエネルギー代謝が機能しなくなり、ダメージが蓄積した状態が続きます。
すると、生きる上で必須とは言えない頭皮や髪の毛へのエネルギー供給の優先順位を下げます。
毛母細胞の細胞分裂活動を十分に行えなくなり、発毛不良の状態となってしまうのです。
睡眠不足以外の薄毛の原因について、以下の記事で説明しています。
睡眠のメカニズム
睡眠は性質が異なる以下の2種類に分けられます。
- ノンレム睡眠
- レム睡眠
それぞれの睡眠には以下のような重要な役割があります。
ノンレム睡眠 | レム睡眠 | |
---|---|---|
サイクル | 60〜80分 | 10〜30分 |
眠りの深さ | 深い | 浅い |
状態 | 呼吸や心拍数が安定 |
|
役割 |
|
精神性の回復 記憶の整理・固定 技能の習熟 |
ノンレム睡眠は、脳や身体の細胞を回復させる睡眠です。
髪や肌の成長に必要な成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠のサイクルに多く分泌されます。
髪の毛の成長を妨げないようにするには、特にノンレム睡眠を阻害しないことが重要です。
一方レム睡眠は、記憶や感情を整理したり、脳の情報を定着・消去するための睡眠です。
一見眠っているように見えますが、脳は覚醒しています。
睡眠周期は、ノンレム睡眠とレム睡眠合わせて90〜120分を1睡眠サイクルとして、一晩に3〜5回繰り返されます。
ノンレム睡眠とレム睡眠のそれぞれが心身を健康にしていくために重要で、サイクルを繰り返すことで人間は体を回復・成長させています。
成長ホルモンと薄毛の関係
髪や肌の成長に必要な成長ホルモンは、入眠直後のノンレム睡眠のサイクルに多く分泌されます。
成長ホルモンが分泌されると、IGF-1(インスリン様成長因子1)という物質が生成されます。
IGF-1には、次のような働きがあります。
- 毛母細胞の増殖を促進
- 血行改善
- 髪のタンパク質量の増加
- 抗炎症作用
これらの働きは全て、太くて長い健康な髪をつくり、健やかな頭皮環境を維持するのに欠かせません。
入眠後「3時間」に成長ホルモンがもっとも分泌される
髪や肌の成長に必要なホルモンは、入眠後〜3時間の間にもっとも多く分泌されます。
この時間の睡眠の質が髪の健康を大きく左右すると言えるでしょう。
成長ホルモンの分泌量は、入眠後3時間がピークとなり、その後数時間かけて全身をめぐります。
夜10時〜深夜2時のゴールデンタイムはある?
かつては、夜10時~深夜2時に成長ホルモンが分泌されると言われ「睡眠のゴールデンタイム」と呼ばれていました。
実は、この説に科学的根拠はありません。
眠る時間帯よりも、まとまった睡眠時間を確保することが成長ホルモンの分泌を左右することが分かっています。
成長ホルモンは、入眠後〜3時間の間にもっとも多く分泌されます。
ですから、細切れ睡眠になりがちな方であっても、一度の睡眠で4時間以上の睡眠時間は確保しましょう。
また、夜更かしで生活リズムが崩れると、成長ホルモンの分泌量に良くない影響を与えるのも事実です。
人の体は、無意識のうちに生活サイクルを記憶するといわれています。
健やかな髪を作る成長ホルモンの分泌を妨げないためにも、ある程度決まった時間帯に就寝する習慣を形成しましょう。
年齢と睡眠時間の関係は?
実は睡眠時間が多ければいいわけではなく、年齢に適した睡眠時間を確保できれば問題ありません。
以下に年齢別の適切な睡眠時間を示します。
- 幼児から10歳まで 8~9時間
- 10歳から15歳まで 8時間前後
- 20歳から25歳まで 7時間前後
- 40代 6時間30分
- 60代 6時間
ホルモンバランスを整えるために、就寝時間を決めることを推奨します。
良質な睡眠のために就寝前に気をつけるべき6ポイント
良質な睡眠を取って成長ホルモンの分泌を促すためには就寝前の生活習慣が重要になります。
AGA対策になる質の良い睡眠をとるために就寝前に行うことを以下に示します。
- 就寝3時間前に食事を終わらせる
- 就寝1~2時間前にお風呂に入る
- 就寝前1時間はスマホやパソコンを見ない
- 寝る前のストレッチや軽い運動もおすすめ
- なるべく部屋は暗くする
- 体を温める飲み物を摂取する
就寝3時間前に食事を終わらせる
就寝前に食事をとる方がいますが、就寝前の食事はおすすめできません。
睡眠は「内臓を休める時間」でもあります。
就寝中に消化活動を行うと脳や内臓が休む時間が削られることになります。
食事は就寝3時間前に済ませることをおすすめします。
就寝1~2時間前にお風呂に入る
就寝1~2時間前にお風呂に入るようにしましょう。
お風呂は体の汚れを落とすだけではなく、リラックス効果を得ることができます。
また、体を温めることで睡眠の質の向上も期待できます。
好きな音楽などを聴いてお風呂に入るとより効果的でしょう。
入浴後は、濡れたままの髪を乾かさずに就寝するとフケと雑菌が増え頭皮環境が悪化する恐れがあります。
入浴後は、ドライヤーで乾かしてから就寝しましょう。
就寝前1時間はスマホやパソコンを見ない
スマホやパソコンの画面から発せられているブルーライトは覚醒効果があると言われます。
ブルーライトを含むスマホやパソコンの明るい光は脳を活性化し、睡眠をつかさどるメラトニンというホルモンの分泌量を抑制します。
メラトニンには、副交感神経を優位にし、休息に適した状態に整える働きがあります
メラトニンが足りないことで体内時計が狂い、睡眠の質を低下させる原因になってしまうのです。
画面を間近で見るスマホは特に要注意とされています。
就寝前はスマホの使用を控えるようにしましょう。
寝る前のストレッチや軽い運動もおすすめ
睡眠をとる前に、数分のストレッチを行い日中の体の緊張をほぐすのもおすすめです。
長時間のオフィス勤務が続くとストレスを蓄積してしまいがちです。
ストレスが貯まると、血行の阻害や、ホルモンバランスの乱れなどに繋がります。
睡眠をとる前に、数分のストレッチを行い日中の体の緊張をほぐすのもおすすめです。
軽い有酸素運動やランニングなどの運動習慣でも寝つきが良くなり深い睡眠が得られます。
ただし、寝る直前の強い運動は身体が興奮して眠れなくなるため避けましょう。
部屋はなるべく暗くする
就寝する際はなるべく部屋の明かりを落としたほうがよいでしょう。
もともと人間は夜、暗くなったら眠りにつき、明るくなったら活動していました。
部屋の光が強いと生活リズムにずれが生じる可能性があります。
就寝前は部屋の電気を落として、眠る準備に入りましょう。
体を温める飲み物を摂取する
就寝前に体を温める飲み物を摂取するようにしましょう。
生姜湯は体を温める作用があるので、就寝前の飲み物としておすすめです。
寝つきが悪いからといって、就寝前にお酒を飲む方がいますがおすすめできません。
お酒で眠りにつくと眠りが浅く、また、利尿作用で夜中頻繁にトイレに行くことになります。
トイレで夜中に何回も起きると、脳と体を休めることができません。
カフェインの含まれるコーヒーや紅茶、お茶などは神経を興奮させる作用があります。
どうしても飲む場合はノンカフェインやデカフェのものを選びましょう
お酒やコーヒーではなく「体を温める飲み物」を摂取するようにしましょう。
体にフィットした枕を使う
体に合った枕を使うことも、睡眠の質を上げるよい方法です。
慢性的な肩コリを持っている方や、寝ても疲れが取れないと感じている方は、枕を変えてみることをおすすめします。
肩がこっていたり疲れが残っていたりするのは血行が悪い証拠です。
血行が悪いと、髪をつくるための栄養が不足し健康な髪が育たず、抜け毛が増える可能性もあります。
また、枕カバーを清潔に保つことも髪にとってはポイントです。
枕カバーは汗や雑菌で意外と汚れています。
頭皮に雑菌が繁殖することで、頭皮湿疹などを引き起こし、髪の成長に悪影響を与えてしまうかもしれません。
清潔な枕を維持し、雑菌の繁殖を予防しましょう。
良質な睡眠のために起床後に行うべき4ポイント
AGA対策となる質の良い睡眠をとるためには、起床後の生活習慣も重要になります。
以下に起床後に行うとよいことを示します。
- 決まった時間に起きる
- 決まった時間に朝食を取る
- 日光を浴びる
- 適度な運動をする
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決まった時間に起きる
- 休日もできるだけ同じ時間に起きましょう。
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睡眠時間に大きなバラつきがあると副交感神経の働きが弱くなり成長ホルモンの分泌量が減ってしまいます。
休日も可能な限り同じ時間に起きて眠りにつくことで、睡眠リズムも整い質の良い睡眠につながります。
規則正しい生活と睡眠習慣を心がけましょう。
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決まった時間に朝食を取る
朝ご飯は睡眠やAGAに関わらず重要です。
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おすすめなのがセロトニンの材料となる「トリプトファン」を多く含んでいる食材です。
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大豆製品、乳製品、肉などのタンパク質を含んでいる食材から摂取することができます。
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毎日決まった時間にタンパク質を多く含んだ食材を摂取するようにしましょう。
日光を浴びる
質の睡眠を取るためには日光を浴びることが重要です。
朝、光を浴びることで脳にある体内時計がリセットされ活動状態にできます。
日光を浴びることで脳からセロトニンというホルモンが分泌されます。
このセロトニンが夜になると、睡眠を誘導するメラトニンになります。
メラトニンは目が覚めてから14~16時間後くらいに分泌がされていくことで休息に適した状態に戻っていきます。
適度な運動をする
起床した後は、散歩など適度な運動をするとよいでしょう。
朝の運動も質の良い睡眠をとるうえでとても重要です。
15分から20分程度の散歩でも十分効果があるとされています。
また、散歩する時間がない方は筋肉をほぐす「ストレッチ」も有効です。
AGA予防は就寝前と起床後の行動が重要!
AGA予防には成長ホルモンが正常に分泌される、質の良い睡眠が重要です。
質の良い睡眠を取るためには、就寝前と起床後の生活習慣を見直す必要があるかもしれません。
AGA治療を継続するためには、質の良い睡眠を十分にとることが大事です。
1日や2日の睡眠不足であれば薄毛に直接影響する事は少ないでしょう。
しかし、日々睡眠不足が続いていたり生活リズムが乱れていると、髪の毛に大きく影響してしまうこと恐れがあります。
薄毛を予防したいと思ったら、まずは生活リズムを整えて睡眠をしっかりとることが大切です