この記事で説明する内容は?
近年様々な医療現場で注目されている治療法の1つに「再生医療」が挙げられます。
薄毛治療においても再生医療の研究が進んでいます。
最近話題になっているのが、理化学研究所器官誘導研究チームとベンチャー企業の「オーガンテクノロジー」が共同で進めている「器官再生医療」です。
器官再生医療を薄毛治療に利用しようとする試みが始まっています。
そこで今回は、再生医療と理化学研究所が研究をしている器官再生医療について紹介します。
総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長 加藤です
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意としています
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員
再生医療の仕組み!
再生医療とは体の失った足や臓器などの組織細胞を再生させる医療と認識してよいでしょう。どのようにして体の機能を再生させるのでしょうか。
再生医療でよく聞く肝細胞とは
再生医療では肝細胞を利用して臓器などを再生します。人間の細胞は大きく「器官細胞」と「肝細胞」の2種類に分類することができます。これらの細胞の役割を以下に示します。
器官細胞の役割 体細胞は臓器や皮膚、血液などの組織のことを指します。体の生命維持に必要な役割を果たしています。
肝細胞の役割 肝細胞は、皮膚や臓器になる前の細胞のことを指します。いろいろな組織や臓器になる可能性があるのが肝細胞であり、臓器を修復する役割も担っています。
器官細胞はすでに皮膚や臓器などに生まれ変わった細胞で、肝細胞はこれからどの臓器になるか未定の細胞と理解してよいでしょう。肝細胞が臓器や組織に変化することを「分化」と言います。受精卵の細胞分裂が分化の代表例です。肝細胞が人間の生命活動に必要な細胞に分裂して臓器を形成します。いろいろな臓器に変身できる肝細胞が、再生医療として日々研究されています。
肝細胞の種類と医療
肝細胞は「ES細胞」「iPS細胞」「体性肝細胞」の3種類に分類することができます。以下にES細胞とiPS細胞、体性肝細胞の特徴を示します。
ES細胞の医療 受精卵から培養する細胞で、事故や病気で損傷した組織を再生することが可能です。肝機能障害や半身麻痺など、体の内臓や神経を修復に期待がもてる細胞として注目されます。
iPS細胞の医療 iPS細胞はノーベル賞受賞者の京都大学の山中伸弥教授が研究開発した「人口多能性幹細胞」のことです。iPS細胞は理論上、体のどの部位も作ることができます。しかし、まだ実用化には時間がかかるといわています。2013年~2014年に臨床試験が実施され、安全面では問題は確認されなかったようです。
体性幹細胞の医療 耐性肝細胞の1つで間葉系肝細胞が挙げられます。間葉系肝細胞は脊髄にある細胞で、脊髄損傷や肝機能障害での治療が注目されています。再生医療の研究は進んでいますが、一般的な医療として普及されるには時間がかかるといわれています。
器官細胞は2種類の肝細胞から
再生医療では臓器を修復する肝細胞を中心に研究が進んできましたが、臓器や骨などを形成する器官細胞も注目されて来ました。器官細胞とはたくさんの細胞が集合した、一定の機能を持った細胞の集合体で、毛髪も器官細胞に含まれます。器官細胞は2種類の肝細胞から作られています。器官細胞は2種類の肝細胞が必要だということですね。
毛包を利用する器官再生医療
器官細胞は2種類の肝細胞が必要ですが、2種類の肝細胞は胎児が体を形成するときにしか存在しません。しかし、大人になっても2種類の肝細胞が存在する部位があります。成人した後でも肝細胞から毛髪などの器官細胞を作ることができるのでしょうか。
マウスでは成功!毛包を利用する器官再生医療
成人しても2種類の肝細胞が存在する部位があります。それは「毛包」です。マウスを使った実験では、毛がないマウスに、毛があるマウスから毛包を形成する肝細胞を採取し、その細胞を毛がないマウスに移植したところ、マウスから毛が生えてきました。毛包から器官細胞である毛髪を作る試みは成功しました。以上のことから、人間にも毛包の細胞を利用した器官再生医療の薄毛治療が注目され、研究が続けられています。
2014年の薬事法改正で再生医療研究が加速
医療行為の認定には、いくつもの段階をクリアしなければならず、最新の医療を利用できるまで、とても時間がかかります。しかし、2014年の薬事法改正で医療行為の認定が簡略化され、早期に最新の医療行為の認定が下りるようになりました。これを機に、再生医療の研究も日進月歩の勢いで進んできています。以下に市販までのプロセスを示します
2014年以前 ① 臨床研究 ② 臨床試験 ③ 承認 ④ 市販
2014年以降 ① 臨床研究 ② 臨床試験(有効性、安全性の確認) ③ 早期承認(条件・期限付きの承認) ④ 市販(市販後の安全性をと有効性を再度確認) ⑤ 正式認証 ⑥ 市販
臨床試験と市販に条件を設定することで、早期に承認を得ることができるようになり、再生医療の研究分野も進んできました。肝細胞の再生医療などは2014年の薬事法改正で大きく前進することになりました。
2020年には器官再生医療で薄毛治療が実現!?
器官再生医療は早ければ、2020年には実用化ができるようです。器官再生医療で今後の薄毛治療にどのような影響を与えるか、AGA頭髪専門クリニックも薄毛治療を受ける側も慎重に見極める必要がありそうですね。