この記事で説明する内容は?
「内臓の病気が原因の円形脱毛症とは?」
「円形脱毛症と内臓疾患による脱毛の違いは?」
円形脱毛症は突然現れる脱毛症状に悩む方が多くいますが、その原因は自己免疫反応だけではなく、内臓系の病気や膠原病との関連も考えられます。
今回は、内臓疾患と脱毛の関係、内臓疾患による脱毛と円形脱毛症の見分け方、かかるべき病院について説明します。この記事を読むことで、円形脱毛症の原因や対処法について理解が深まり、適切な医療機関への相談ができるようになります。ぜひ、円形脱毛症に関する疑問を解消し、適切な対処法を見つけましょう。
総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長 加藤です
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意としています
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員
内臓の病気が原因の円形脱毛症とは?
内臓の病気や疾患が原因で円形脱毛症が起こることがあります。内臓の病気が体全体の代謝やホルモンバランスに影響を与えることで、毛の成長サイクルが乱れ、脱毛が生じる場合があるからです。具体的には、甲状腺ホルモンの異常や炎症性サイトカインの増加などが関与していると考えられています。
通常の円形脱毛症のメカニズム
円形脱毛症は、頭皮や体毛の一部が円形に脱毛する症状です。原因は自己免疫反応とされており、免疫システムが誤って毛包(毛が生える部分)を攻撃してしまうことで毛が抜け落ちます。
ストレスや遺伝的要素も影響していると言われていますが、詳細なメカニズムはまだ解明されていません。
円形脱毛症と関連のある内臓系の病気
円形脱毛症と関連のある内臓系の病気・疾患には以下があります。
- 肝硬変・肝炎
- 腎炎・腎不全
- 胃潰瘍・潰瘍性大腸炎
- 甲状腺疾患
- 糖尿病
それぞれの内臓疾患について説明します。
肝硬変・肝炎
肝硬変や肝炎は、肝臓の機能低下を引き起こします。肝臓がうまく働かないと、栄養素の代謝やホルモンバランスが乱れることがあり、これが円形脱毛症につながることがあります。
肝臓は頭皮の健康に必要な栄養素を生成し、体内のホルモンバランスを維持する役割を果たしています。そのため、肝臓の機能が低下すると、毛髪の生成に必要な栄養素が不足し、円形脱毛症を引き起こすことがあるのです。
特に、肝硬変によるアンモニアの代謝障害は、毛髪の生成に影響を及ぼすことが報告されています。アンモニアは体内で生成される毒性物質で、肝臓の働きによって無害な尿素に変換され排出されます。
しかし、肝硬変が進行すると、アンモニアの代謝がうまく行われなくなり、血中アンモニア濃度が上昇します。これにより、毛髪の生成を阻害することが考えられます。
腎炎・腎不全
腎炎や腎不全は腎臓の機能が低下する病気で、これらの病気が円形脱毛症に影響を与える可能性があります。
腎臓の機能低下により尿毒症という状態が引き起こされ、体内の毒素が排泄されずに蓄積することがあります。このため、毛の成長に必要な栄養素が不足し、円形脱毛症が発生することがあるのです。
胃潰瘍・潰瘍性大腸炎
胃潰瘍や潰瘍性大腸炎は、消化管の炎症や潰瘍が原因で栄養素の吸収が低下することがあります。
特に、潰瘍性大腸炎は炎症を引き起こす物質(炎症性サイトカイン)の産生が亢進し、これが毛包に悪影響を及ぼすことが考えられます。
栄養素の不足や炎症性サイトカインの影響により、円形脱毛症が起こることがあります。
甲状腺疾患
甲状腺機能低下症も、円形脱毛症と関連があることが知られています。甲状腺は、新陳代謝や成長を調節するホルモンを分泌する重要な内分泌器官です。
バセドウ病は甲状腺ホルモンの過剰分泌、橋本病は甲状腺ホルモンの低下が特徴です。どちらの病気も、ホルモンバランスの乱れが毛の成長サイクルに影響を与え、円形脱毛症を引き起こすことがあります。
甲状腺機能低下症では、これらのホルモンの分泌量が減少し、体内の代謝が低下します。その結果、毛髪の成長に必要な栄養素が不足し、円形脱毛症が発生することがあります。甲状腺機能低下症の疑いがある場合は、専門医による診断と適切な治療が必要です。
糖尿病
糖尿病は、インスリンの作用不足や抵抗性により、血糖値が上昇する病気です。糖尿病の長期的な血糖値の高さは、血管や神経の障害を引き起こし、毛髪の栄養供給が低下します。これにより、円形脱毛症が起こることがあります。
円形脱毛症と内臓疾患由来の脱毛症状の違いは?
円形脱毛症の典型的な症状は、円形や楕円形の脱毛部位が現れることです。この脱毛部位は、無痛でかゆみもなく、皮膚には炎症や異常が認められません。
また、脱毛部位は1か所だけでなく、複数箇所に出現することもあり、個人差が大きいことが特徴です。
一方、内臓の病気が原因の脱毛は、全身的な症状や他の内臓病の症状と共に現れることが特徴です。
内臓疾患による脱毛は、円形脱毛症とは異なり、しばしば全身的な薄毛や抜け毛が見られ、その範囲も広がる傾向があります。
また、内臓の病気が改善されると、脱毛も徐々に回復することが一般的です。
円形脱毛症と膠原病性脱毛の関係
膠原病は、自己免疫反応による炎症や破壊が毛包に影響を与え、円形脱毛症を引き起こすことがあります。
膠原病は、自己免疫疾患の一種で、主に膠原線維(結合組織を構成する線維)が炎症や破壊を受けることが特徴です。代表的な膠原病には、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、シェーグレン症候群などがあります。
特に、全身性エリテマトーデスは、皮膚症状として脱毛が現れることが知られています。しかし、膠原病による脱毛は円形脱毛症とは異なるメカニズムで発生するため、症状が似ていても別の病態であることもあります。膠原病が円形脱毛症の原因となる場合もあるため、脱毛の症状がある場合は、専門医に相談することが重要です。
内臓疾患由来の円形脱毛症患者が受診すべき病院
円形脱毛症の治療を受けるためには、皮膚科や薄毛専門クリニックを受診することが一般的です。しかし、内臓の病気が原因で円形脱毛症が起こっている場合、内科や消化器科、腎臓内科、甲状腺内分泌科など、症状に応じた診療科を受診することが適切です。
まずはかかりつけ医に相談し、適切な診療科を紹介してもらいましょう。
まとめ
この記事では、円形脱毛症の原因として自己免疫反応だけでなく、内臓疾患や膠原病との関連について詳しく解説しました。また、関連する内臓の病気や膠原病の影響、そして円形脱毛症と内臓の病気による脱毛の違いについても説明しました。さらに、受診すべき病院や診療科に関する情報も提供しています。
円形脱毛症に悩んでいる方は、内臓の病気や膠原病が原因である可能性も考慮して、適切な医療機関で検査を受けることが重要です。記事を読んだあとは、自分の症状に合った薄毛専門病院に受診し、円形脱毛症の原因を突き止めることをお勧めします。
適切な治療法を見つけることで、円形脱毛症への対処がスムーズに進みます。健康な髪の毛を取り戻すために、まずは専門医に相談してみましょう。