デュタステリドが効かない理由とは?原因・正しい服用方法・対処法を専門医が解説
記事のポイント
- デュタステリド治療は効果を実感するまでに時間がかかるので自己判断で中断しないことが重要です
- デュタステリドの効果は、毎日決まった時間に服用して血中濃度を一定に保つことで最大化できる
- 薄毛の原因がAGAではない可能性やデュタステリド単剤(守り)だけでは発毛実感が不十分なケースもある
男性型脱毛症(AGA)の治療薬デュタステリド。発毛効果を感じられず、「効かないのでは」と不安に思う人も多いはずです。でも、デュタステリドが効かない理由は様々あり、原因次第では有効な対処法もあるのです。
本記事では、デュタステリドが効かない理由と対処法を、AGAの第一線で活躍する医師の立場から詳しく解説します。AGAに悩む読者の皆さんの不安を少しでも解消し、前向きに治療を続けられるよう、サポートいたします。
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デュタステリドが効かない原因は?

デュタステリド(ザガーロ)は男性型脱毛症(AGA)に効果的な治療薬とされていますが、思ったように効かない主な原因は以下の通りです。
効果判定が早すぎる
最も多いのが、効果を期待するあまり、判断を急いでしまうケースです。髪の毛には「ヘアサイクル」という周期があり、薬の効果が目に見える形になるまでには、相応の時間が必要です。
デュタステリドは、AGAの原因となる5αリダクターゼのI型とII型の両方を強力に阻害するダブルブロックの強力な治療薬です。AGA治療薬の中でも非常に強力な作用を持ちます。
それでも、デュタステリドを服用し始めてから、抜け毛の減少といった初期の変化を感じるまでに約3ヶ月、そして産毛が生え始め、髪の毛にコシが出てきたと実感できるようになるまでには最低でも6ヶ月の継続服用が必要です。
人によっては1年ほどかかる場合もあります。
また、服用開始後1〜3ヶ月の間に、一時的に抜け毛が増える初期脱毛を経験することがあります。これは、乱れたヘアサイクルが正常化する過程で、古い弱い髪が新しい強い髪に押し出されるために起こる現象です。
不安になるかもしれませんが、むしろ薬が効き始めているポジティブなサインと捉えて服用を継続することが重要です。
個人差や体質
デュタステリドの主な働きは、男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制することです。しかし、DHT産生に関わる酵素の一つ、5αリダクターゼ酵素の活性度には個人差があります。この酵素活性が高い人では、デュタステリドがDHTの産生を十分抑制できない可能性があり、発毛効果が現れにくくなります。
さらに、デュタステリドの体内動態(吸収、分布、代謝、排泄)にも個人差が存在します。薬物代謝酵素CYP3A4の活性が低い人では、デュタステリドが十分に代謝されず血中濃度が上がりにくく、結果として効果が現れにくくなる可能性があるのです。
生活習慣
デュタステリドは強力な薬です。しかし、それだけに頼り、不摂生な生活を送っていては効果を十分に発揮できません。髪の毛は、日々の生活習慣を映す鏡でもあります。
特に以下の点は、髪の成長環境を悪化させ、治療の足を引っ張る可能性があります。
バランスの取れた食事、十分な睡眠、適度な運動を心がけることは、デュタステリドの効果を最大限に引き出すための土台作りとなります。
AGAが重度に進行していた
デュタステリドは主に毛根の活性化による発毛効果が期待できますが、毛根が萎縮して機能不全に陥ると発毛は難しくなります。
一方で、初期段階のAGAであれば毛根の活性化が見込めるため、デュタステリドの発毛効果を実感しやすくなります。早期にデュタステリド服用を開始することで、十分な発毛が期待できるでしょう。
初期脱毛を誤解
デュタステリド服用を開始すると、一時的に脱毛が進行する「初期脱毛」が起こることがあります。これは新しい毛が生えてくる前触れの現象です。
デュタステリドはヘアサイクル(毛周期)を正常化し、休止期の毛を脱落させることで新しい毛が生える環境を整えます。そのため、服用開始直後は古い毛が一斉に抜け落ちるため、かえって脱毛が進行したように見えてしまうのです。
このような初期脱毛は通常3~6カ月程度で落ち着き、その後徐々に発毛が始まります。一時的な脱毛が激しく、効果が出ないように感じられても、これは発毛への過程なのです。
遺伝的要因
AGAには遺伝的素因があり、両親や祖父母にAGAがあった場合、自身もAGAになりやすいことが知られています。特に母方の遺伝が影響しやすいとされています。遺伝的にDHT感受性が高い人では、デュタステリドの効果が出にくい可能性があります。
DHT感受性の高さは、ヘアサイクル(毛周期)の乱れにもつながります。ヘアサイクルが正常に回らず、毛が早期に休止期へ移行してしまうと、発毛が難しくなるためです。遺伝的要因によるDHT過剰感受性がデュタステリド不応の原因になり得るのです。
内分泌系の問題
デュタステリドの効果が出にくい原因として、内分泌系の乱れが挙げられます。特に甲状腺ホルモンの異常は、AGAに影響を与えます。
甲状腺機能低下症では、男性ホルモンの代謝が遅くなり、DHT値が上がりがちです。その結果、AGAが進行しやすくなります。一方、甲状腺機能亢進症では、ヘアサイクルが乱れ、毛根が早期に休止期に入るため、発毛が難しくなります。
また、インスリン抵抗性や糖尿病も内分泌かく乱の一因です。インスリン値の上昇は男性ホルモンを増やし、DHT産生を促進させます。デュタステリドの効果を減らしてしまう可能性があるのです。
他の病気の薬剤と相互作用
デュタステリドは、主に肝臓で代謝される薬剤です。そのため、同じくCYP3A4という酵素で代謝される他の薬剤と併用すると、相互に影響を及ぼし合う可能性があります。
具体例として以下薬剤は、CYP3A4を誘導して代謝を促進させるため、デュタステリドの血中濃度を下げる可能性があります。
- フェニトイン
- カルバマゼピン
- リファンピシン
結果としてデュタステリドの効果が低下する恐れがあるのです。
逆に以下の薬剤はCYP3A4を阻害するため、デュタステリドの血中濃度を高め、副作用のリスクを高めてしまいます。
- 抗生物質のエリスロマイシン
- HIV治療薬のリトナビル
- 抗真菌薬のイトラコナゾール
薬剤相互作用を避けるため、他の薬との併用は十分注意が必要不可欠です。デュタステリドが思ったように効かない場合は、服用している他の薬剤も確認することが重要になります。
服用が不規則
デュタステリドは持続的に服用することで初めて効果が現れる薬剤です。不規則な服用では十分な血中濃度が維持できず、AGAに対する効果が発揮しにくくなります。
デュタステリドの半減期は約5週間と長く、血中からの消失に時間がかかります。しかし、服用を1日でも休むと血中濃度が徐々に低下し始めてしまいます。規則正しい服用を続けないと、効果的な血中濃度が維持できなくなるのです。
治療初期は特に注意が必要です。効果が現れるまでに3~6カ月を要するデュタステリドでは、発毛までの間、規則正しい服用が欠かせません。
正規薬を使っていない
費用を抑えたいという理由から、海外のサイトなどを通じて個人輸入で薬を入手する方がいますが非常に危険です。
個人輸入品の中には、有効成分が全く入っていない偽造品や表示と異なる成分が含まれた粗悪品が紛れている可能性があります。これでは効果が出ないばかりか、予期せぬ健康被害を招くリスクさえあります。
AGA治療薬は医療用医薬品であり、医師の処方のもと、国内で正規に流通しているものを使用することが安全と効果を確保するための大前提です。信頼できるクリニックで処方された正規品を服用するようにしてください。
費用を抑えたいなら、ザガーロより後発のジェネリックの使用を検討することも可能です。
AGA原因の薄毛ではない
デュタステリドは、あくまでAGA(男性型脱毛症)に特化した治療薬です。したがって、もしあなたの薄毛の原因がAGA以外にある場合、残念ながら効果は期待できません。
AGA以外の脱毛症には、以下のようなものがあります。
これらの脱毛症は、それぞれ治療法が全く異なります。AGAかどうかを正確に判断するには、マイクロスコープで頭皮の状態や毛根の萎縮(ミニチュア化)を確認するなど専門医による診断が不可欠です。
デュタステリド単剤では不十分
AGAの進行度が進んでいる場合や遺伝的要因が非常に強い場合、デュタステリドで抜け毛の進行を食い止めることはできても、満足のいく発毛効果が得られないことがあります。
デュタステリドは、いわば薄毛の進行に「ブレーキをかける」守りの治療です。このようなケースでは、髪の成長を「アクセルを踏んで促す」攻めの治療を組み合わせることで、飛躍的に効果が高まる可能性があります。
その代表的な治療が「ミノキシジル」です。ミノキシジルは、頭皮の血行を促進し、毛母細胞を直接活性化させることで発毛を促す薬です。
デュタステリドとミノキシジルは作用機序が異なるため、併用することで「抜け毛を止め、同時に髪を生やす」という相乗効果が期待できるのです。
デュタステリドの効果を実感するためにできることは?

デュタステリドの効果が思わしくない場合、様々な対策を講じることで発毛効果を高められる可能性があります。
正しい服用
デュタステリドが十分に効果を発揮するには、以下のような正しい服用方法を守ることが重要です。
- 決して服薬を休んではいけません
- 空腹時の服用が望ましい
1日でも休薬すると、血中濃度が低下し始め効果が落ちてしまいます。規則正しく毎日同じ時間に服用を心がけましょう。食後に飲むと吸収率が低下するため、起床時や食事の2時間前後が理想的です。
さらに、デュタステリドは長期服用が前提の薬剤です。3〜6カ月は様子を見る期間が必要で、その間は確実に服薬し続ける必要があります。
生活習慣の見直し
生活習慣の改善もデュタステリドの効果を高める有力な手段です。
- 喫煙は控えめに
- 規則正しい生活リズムを心がける
- バランスの良い食事
ニコチンは血管を収縮させ、デュタステリドの吸収を妨げます。禁煙が理想ですが、少なくとも過度の吸煙は控えるべきでしょう。
不規則な生活は自律神経の乱れを引き起こし、男性ホルモンバランスを崩します。就寝時間を一定に保つなど、生体リズムを整える工夫が欠かせません。ビタミンB群や亜鉛、タンパク質などの栄養不足は悪影響を及ぼします。
デュタステリドが効かない場合の対処法は?

正しい服用や生活習慣の改善を行ってもデュタステリドの効果が出ない場合は、次の対処法を検討する必要があります。
専門医の診断と治療方針の変更
まずは専門医を受診し、原因を突き止める必要があります。AGAの進行度や、他の疾患の有無、血液検査による内分泌系の異常のチェックなどを行います。
デュタステリド不応の原因が判明すれば、それに応じた治療方針の見直しが必要になります。例えば内分泌疾患が原因であれば、その治療を優先する必要があります。
AGAの進行が著しい場合は、発毛を期待せずに毛髪移植術を検討するなど、柔軟な対応が求められます。
フィナステリドへの切り替え
デュタステリドでは発毛効果が望めない場合、同じAGA治療薬のフィナステリド(プロペシア)へ切り替えを検討できます。作用機序は同じでデュタステリドよりも発毛効果は低めですが、効果の出やすさでは上回ることがあります。
特に遺伝的要因や内分泌異常によりデュタステリド不応の人では、フィナステリドの方が効果が期待できる可能性があります。ただし副作用のリスクもあり、それぞれの長所短所を理解した上で、医師と相談しながら判断する必要があります。
ミノキシジルの併用
発毛剤として第一選択されるのがミノキシジルです。デュタステリドとの併用により相乗効果が期待できます。
ミノキシジルは毛母細胞の代謝を活性化させ、発毛と毛髪の太さを促進する外用薬です。一方デュタステリドはDHTを抑制することで毛母細胞を保護します。作用が異なるため、両剤の併用は発毛を強力にサポートします。
ただし、いずれも副作用の危険性があり、医師からの指導の下で使用することが不可欠です。
まとめ
デュタステリド(ザガーロ)は男性型脱毛症(AGA)の根本治療薬として高い効果が期待されていますが、一部の人では思うような改善が見られない場合があります。その原因は個人差や体質、他の薬剤との相互作用など、さまざまな要因が考えられます。
しかし、正しい服薬と生活習慣の改善を心がけることで、デュタステリドの効果を最大限に引き出すことができます。それでもなお改善が見られない場合は、専門医の診断を経て原因を特定し、治療方針の変更が必要不可欠です。
AGAは様々な要因が絡み合う複雑な疾患です。デュタステリドが効かない場合でも、落ち着いて原因を探り、適切な治療法を見つけていくことが大切です。
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よくある質問
- デュタステリドの効果が出るまでどのくらい時間がかかりますか?
デュタステリドの発毛効果が現れるまでには3~6カ月を要します。これはデュタステリドが体内に蓄積され、徐々に作用を発揮していくためです。この期間は、確実に毎日服用し続けることが大切です。一時的に脱毛が進行する「初期脱毛」の期間もありますが、これは新しい毛が生えてくる兆候です。効果を実感できるまでには地道な継続が不可欠なのです。
- デュタステリドと他の発毛剤の併用はできますか?
有力な選択肢の一つがミノキシジルとの併用です。ミノキシジルは発毛を促進する外用薬で、デュタステリドとは作用が異なります。両剤の併用で相乗効果が期待できますが、副作用リスクも高まります。医師に相談の上、慎重に検討する必要があります
