この記事で説明する内容は?
最近は20代の若い年代の方にも、FAGA症状が増加傾向にあります。
「髪の毛が細くてボリュームがない」「分け目部分が薄くなったような気がする」と悩んでいる方も多いようです。
AGA(男性型脱毛症)は男性だけの問題ではありません。実は、女性にもホルモンバランスによる薄毛の症状が出る場合があります。
最近では、女性のホルモンバランスによる薄毛の症状のことを「FAGA」と呼びます。今回は「FAGA」の改善法と最新治療法をご紹介します。
総合頭髪治療を専門とする大阪AGA加藤クリニックグループ総院長 加藤です
臨床的に効果が認められた様々な薄毛・脱毛に有効な最先端の治療を得意としています
平成13年 近畿大学医学部 卒業
平成13年 大阪医科大学医学部付属病院 形成外科入局 麻酔科勤務
平成17年 大手美容外科 形成外科部長 植毛部門勤務
平成23年 大阪AGA加藤クリニック開業
日本形成外科学会 正会員
日本再生医療学会 正会員
国際抗老化再生医療学会 正会員
FAGAとは?
「FAGA」とは女性の薄毛の総称です。FAGAの主な原因は「ストレス」と「更年期障害」によるホルモンバランスの乱れだと考えられています。
ただし、ストレスや栄養状態、遺伝的要因など様々な要素が関係しています。単純に男性ホルモンの増加だけが原因ではありません。
FAGAとは「Femwomanale AndroGenetic Alopecia」の略で、直訳すると「女性の男性型脱毛症」になります。最近は「FPHL(Female Pattern Hair Loss)」と呼ばれることもあります。
20代や30代の若い女性でもFAGAを発症することがあります。更年期に多いですが、若年層でも起こり得る問題です。適切な治療を早期に開始すれば、症状の改善や進行の抑制が可能です。
FAGAとAGAの違い
AGA(男性の薄毛)は多くの場合、局所的な脱毛です。額の生え際や頭頂部のどちらか、またはその両方の髪が薄くなります。重度の場合は完全に髪が失われツルツル状態になることもあります。
女性の薄毛は、頭頂部もしくは全体的に均一に髪が抜けていくことが多いのが特徴です。髪の毛全体のボリュームが無くなる症状を「びまん性脱毛症」と言います。 全体的に薄くなりますが、AGAのようにツルツル状態になることは稀です。
FAGA、FPHLは発症メカニズムや症状の違いから、男性のかかるAGAと区別された女性特有の症状です。女性特有の要因も関係するため、同一視するのは適切ではありません。
男性のAGAは、男性ホルモンであるDHT(ジヒドロテストステロン)が毛母を攻撃して正常な発毛が行われなくなってしまうのが原因です。
女性であっても男性ホルモンは持っています。髪を成長させる女性ホルモン(エストロゲン)の量が減ると、相対的に男性ホルモンが多くなり薄毛や抜け毛につながります。
そして、髪の成長が止まる休止期間が長くなります。成長期の毛包が十分に成長出来ずに小さくなってしまい、毛髪は細く短くなって、薄毛の症状となってしまいます。
それでも、女性ホルモンは一定量分泌され続けますので、FAGAの場合はすべて禿げあがってしまうことはなくて、髪が細くて弱くなり、全体的に薄くなって行くのが特徴です。
FAGAとFPHLの違い
FAGAは最近は「FPHL(Female Pattern Hair Loss)」と呼ばれることもあります。
2017年版の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、FPHLとFAGAを以下のように区別しています。
- FPHL:女性の薄毛全般(FAGAも含む)
- FAGA:男性ホルモンによる脱毛症
ガイドラインによると、FPHLのなかにはFAGAのほかに円形脱毛症や牽引性脱毛症、分娩後脱毛症など、女性に関する脱毛症全般が含まれます。FPHLはFAGAを含んだ、女性の脱毛症を示す「総称」として使用されるようになっています。
FAGAの治療は主に男性ホルモンの影響を抑える方向性でしたが、FPHLの概念導入により、より多角的なアプローチが考慮されるようになっています。
FAGA(FPHL)の症状と進行パターン
FAGAは40~50代頃の更年期に多いですが、20代頃にも起こることがあるので注意が必要です。
以下はFAGA(FPHL)の特徴をまとめた項目です。
- 分け目が広がったように感じる
- 抜け毛が増えた
- 髪の毛が細くなった
- 髪が全体的に薄くなった
- 頭頂部から脱毛していく範囲が広がった
上記で1つでも当てはまったら注意が必要です。
また、女性の脱毛症は「ルードヴィヒによる分類」という以下3段階の進行パターンが知られています。
- Ⅰ型
頭部の正面から頭頂部にかけて髪の毛が薄くなります。髪のボリュームには変化があまりありません。この段階では本人も気づかないことも多いです。 - Ⅱ型
Ⅰ型より脱毛範囲が広くなり、地肌も目立つようになります。 - Ⅲ型
頭頂部の薄毛がさらに進行し、地肌が露出していきます。
FAGAの原因
FAGAの原因はAGAと同様にホルモンバランスが影響していると考えられています。しかし、医学的にまだはっきりと確定されていません。
以下のような様々な原因が複合的に影響していると考えられています。
加齢や出産によるホルモンバランスの乱れ
卵巣から分泌される女性ホルモンの一種「エストロゲン」には髪の毛の成長期を伸ばす働きがあるといわれています。しかし、エストロゲンは加齢や出産によって極端に減少するという特徴があります。
エストロゲンの減少によってホルモンバランスが乱れると女性ホルモンの働きが低下するため、薄毛に繋がることが考えられます。
自律神経の乱れ
自律神経の乱れはホルモンバランスの乱れにつながってFAGAの原因となります。自律神経の乱れは、ストレスの蓄積や睡眠不足などの生活習慣の乱れによって引き起こされると考えられます。
ダイエットによる栄養不足
過度なダイエットは髪の毛に悪影響を及ぼすと考えられています。髪の毛のもととなる細胞は主に食事から摂取した栄養素などによって成長し、維持されています。
不摂生な生活や過度なダイエットなどにより栄養バランスの悪い食生活を送っていると髪の毛の成長や健康な頭皮環境の維持に必要な栄養素が不足します。結果として、正常な育毛が妨げられて薄毛や抜け毛に繋がる可能性があります。
運動をせず、食事を抜くダイエットはホルモンバランスを崩してしまう恐れがあるので、注意しましょう。
ストレス
慢性的にストレスを受けることで自律神経が乱れ、血行不良を引き起こす可能性があるといわれています。正常な育毛に必要な栄養素や酸素は主に血液によって運ばれ毛根に供給されます。
したがってストレスにより血行不良の状態が続くと、髪の毛の生成に必要とされる十分な栄養素が毛根に供給されなくなり薄毛や抜け毛を助長する恐れがあります。
体質に合わないヘアケア製品
FAGAの予防・改善には、体質に合わない育毛剤の使用と過度の洗髪に注意してください。
特に、間違ったヘアケアがFAGAを悪化させるケースが多いのです。
自分の体質に合わない市販の育毛剤や育毛シャンプーを毎日使用することで、頭皮環境が悪化してしまい、逆にFAGAの進行を速めてしまう可能性があるので注意が必要です。
遺伝的な要因
遺伝的な要因もFAGAの原因と考えられています。と言っても、すべての女性が加齢で脱毛するわけではありません。
ジヒドロテストステロン(DHT)を受け入れるレセプターが有るか、無いかは遺伝すると言われています。
FAGAの遺伝メカニズムは現在も研究段階にあり、完全には解明されていません。最新の研究では、250以上の遺伝子座位がFAGAに関連していることが示唆されています。
紫外線
紫外線も髪の毛に悪影響を及ぼすと考えられています。多くの紫外線を浴びることで皮膚が酸化し、脱毛の一因となってしまいます。
さらに日光による乾燥のせいで、紫外線は髪のキューティクル層を破壊し、内部のタンパク質を変性させる可能性があります。これにより髪が乾燥し、パサつきや枝毛、切れ毛が増える可能性があります。
特に日差しが強い夏は要注意です。紫外線がFAGAの直接的な原因であるという明確な科学的証拠はありませんが、頭皮の健康を損なうことで間接的に影響を与える可能性はあります。
睡眠不足
髪の毛は睡眠中に分泌が活発になる成長ホルモンによっても発育が促されています。睡眠不足が続き正常な育毛が妨げられると、抜け毛や薄毛に影響を与える可能性があります。
喫煙
タバコのニコチンは血管を収縮させてしまうので、毛根への血液量を減少させ栄養の行き来を邪魔します。
お酒
過度の飲酒は肝臓に負担をかけて、髪の毛に必要なたんぱく質が作られなくなって、FAGAの進行につなげてしまいます。
きつめの帽子
帽子をきつく長時間被っていると、頭の毛細血管を圧迫して、髪に栄養を行きにくくして、FAGAの進行につながることもあります。
シャンプーのし過ぎ
清潔感を求めるあまり1日に複数回、シャンプーで髪の毛を洗う方も注意してください。
頭皮を清潔に保つことは重要ですが、過度な洗髪は頭皮にダメージを与えるので、よくありません。 女性の場合、髪の毛を気にしすぎて間違ったヘアケアに陥りがちなので注意が必要です。
全身疾患
脱毛症状は病気の合併症として起こる可能性もあります。鉄欠乏性貧血や膠原病、甲状腺機能低下症など、女性に起こりやすいとされる疾患などでも抜け毛や薄毛の症状が現れることがあるため、大量の抜け毛が突如として生じた場合は注意が必要です。
薬剤
経口避妊薬(ピル)の服用を中止した際などに薬剤の影響により、抜け毛が増える場合があります。
FAGAの治療法は?
現在頭髪治療専門クリニックで行われているFAGAの最新治療法を紹介します。
- AGAクリニックでの治療の流れ
- ミノキシジルとパントガールでFAGAを改善
- AGAメソセラピーで治療する
FAGAの費用については以下の記事で説明しています。
AGAクリニックでの治療の流れ
AGA頭髪治療専門クリニックでの治療の流れは、以下の順番で進みます。
- カウンセリング
- 医師による診察
- 健康診断(血液検査・血圧測定など)
- お薬の処方
AGA治療では、最初にカウンセリングを行います。女性カウンセラーがいるAGA頭髪治療専門クリニックも多いので、女性の方でも安心して薄毛の悩みを相談できるでしょう。
カウンセリングの後は、医師による診察です。医師の診察が終わったら、患者さんの体調や体質を知るために健康診断(血液検査・血圧測定など)を行い、その結果をもとに患者さんの体質に適したお薬の処方から治療をスタートさせます。
「AGA対応可能」と謳う一般の皮膚科・美容皮膚科とAGA専門クリニックの違い、症状による使い分け方法については以下の記事で詳しく説明しています。
スピロノラクトン・ミノキシジル・パントガールでFAGAを改善
FAGAの治療で使用される薬は、主に以下です。
- スピロノラクトン
- パントガール
- ミノキシジル
スピロノラクトンは、もともとは高血圧や心不全の治療薬として開発されました。現在では女性型脱毛症(FAGA)の治療にも使用されています。アルドステロン受容体の活性をブロックし、ホルモンバランスを整える効果があります。また、男性ホルモン(アンドロゲン)の働きを抑制する抗アンドロゲン作用があります。
パントガールの有効成分はビタミンB1、パントテン酸カルシウム、薬用酵母、L-シスチン、ケラチンなど、毛髪の構造・構築のために必要な有効成分です。パントガールは女性専用の治療薬です。
ミノキシジルは頭皮の血管拡張効果を持つ外用薬です。
患者さんの体質に適した薬の成分になるよう配合する「オーダーメイド処方」を実施しているAGA頭髪治療専門クリニックもあります。 オーダーメイド処方は、患者さんへの体の負担が少ない点が最大のメリットと言えるでしょう。
また、大阪で随一の症例扱い数を誇る大阪AGA加藤クリニックのFAGA治療方法、価格はこちらのページで説明しています。
FAGA改善薬の副作用は?
以下に、スピロノラクトン、パントガール、ミノキシジルの主な副作用と対策をまとめました。
治療薬 | 主な副作用 |
---|---|
スピロノラクトン | 高カリウム血症 めまい、頭痛 胸やけ、吐き気、嘔吐 月経不順、不正出血 乳房痛、乳房肥大 低血圧 |
パントガール | 頭痛 めまい 吐き気 胃腸障害 アレルギー反応(発疹、かゆみなど) |
ミノキシジル | 頭皮のかゆみ、発赤 接触性皮膚炎 初期脱毛 |
副作用の余計なリスクを避けるためにも、個人輸入は避け、医師の処方や指導のもとで使用してください。
医師の指示通り服用し、定期的な血液検査を行いましょう。副作用症状が現れた場合は速やかに医師に相談してください。
FAGAの予防方法は?
ここまで、生活習慣とFAGAの関係性を説明してきましたが、ここからはFAGAを予防、または改善が期待できる生活習慣をお伝えいたします。
- ヘアケア製品
- 日傘
ヘアケア製品は医師に相談してから
市販の女性用育毛剤は効能によって主に3つに分類されます。
- 女性ホルモンを含む育毛剤
- 毛根に栄養素を送る育毛剤
- 頭皮の血行を促進する育毛剤
育毛剤は体質によって副作用が現れる場合があるので、AGA頭髪治療専門クリニックの医師に相談してから使用したほうが安心です。
市販の育毛剤は、体質によって期待する効果を得ることができない場合もあります。自分の頭皮の状況や体質をAGA頭髪治療専門クリニックの医師に判断してもらってから使用するようにしましょう。
夏は日傘
紫外線は髪の毛に必要なタンパク質を破壊してしまいます。特に夏は紫外線が強く、頭皮環境が悪化してしまい、FAGAが悪化する可能性があります。
なので、外出する際は紫外線をカットしてくれる日傘を使用するのがおすすめです。夏場外出する際は、天気予報の紫外線情報をチェックするようにしましょう。
FAGA以外の女性特有の薄毛症状
女性に特有の薄毛症状には以下があります。
びまん性脱毛症
女性の薄毛の原因としてよく挙げられ、頭髪全体の髪が均等に脱毛して薄くなるので、脱毛部分の境界がはっきりしません。 40代以降の女性によく見られ、原因としては、老化やストレス、極端なダイエット、誤ったヘアケアが挙げられます。
びまん性脱毛症の症状、メカニズム、原因と対策方法についてはこちらの記事で解説しています。
分娩後脱毛症
産後の薄毛の原因は、妊娠中はお腹の子供に栄養を摂られ、妊娠後期にはエストロゲン(卵胞ホルモン-排卵の準備を行うホルモン)などの女性ホルモンによって成長期を維持してきた頭髪が、出産後一気に休止期に入ってしまうからです。
「女性の産後抜け毛・脱毛はいつまで?原因・対策・シャンプー・育毛剤を徹底解説」も併せてご覧ください。
粃糠(ひこう)性脱毛症
乾燥したフケを伴う、ひこう性脱毛症はフケが毛穴を塞いで炎症を起こし、成長出来なくなります。 シャンプーが合わなかったり、不規則な生活習慣が原因でフケが出る場合もありますが、頭皮を強く洗いすぎて逆に痛めてもなります。
円形脱毛症
突然、何の前触れもなく一気に髪が抜け、脱毛個所も1か所から数か所に及ぶ場合や、全身の毛が全て抜けてしまうこともあります。
原因は免疫機能を担うリンパ球の働き異常によって起こる「自己免疫疾患」と考えられ、きっかけはストレスやアレルギー疾患などさまざまです。
円形脱毛症の治療には保険が適用されるので、AGA頭髪治療専門クリニックの医師に相談してみましょう。
「円形脱毛症の初期症状と原因は?いつのストレスが原因か悩む必要なし!」も併せてご覧ください。
牽引性脱毛症
髪の長い女性がポニーテールやアップへアなど、髪を引っ張るようなヘアスタイルが原因です。 通常、少々引っ張るくらいなら髪は抜けませんが、長時間継続して引っ張り続けるヘアスタイルでいると、頭皮に負担がかかって薄毛の原因になってしまうことがあります。
薄毛が気になりだしたら、頭皮に負担をかけるヘアスタイルは避けて、頭皮マッサージで血行を良くして頭皮環境を整える方が賢明です。
脂漏(しろう)性脱毛症
皮脂の過剰分泌によるもので、脂漏性皮膚炎(脂漏性湿疹)を引き起こす場合もあるので、早めの対処が必要です。以下のような習慣があると、頭皮の脂汚れが原因で皮脂が過剰に分泌されて、脂漏性脱毛症を引き起こす原因となります。
- シャンプーを定期的にしない
- 合わないシャンプーを使っている
- すすぎが不十分
女性も早くAGAクリニックに相談してください!
女性の方も薄毛で悩んでいる方は多く、そのためAGA頭髪治療専門クリニックでは女性の薄毛治療も行っています。 なかなか他人には言えないのが、薄毛の悩み。でも決して一人だけで悩むことなく、薄毛の症状が現れ始めた女性の方も、AGA頭髪治療専門クリニックにご相談ください。 一緒にFAGAを改善していきましょう!
FAGAは早期に治療すればかなりの確率で改善することが可能です。
今は薄毛で悩んでいない女性の方も、不規則な生活習慣を続けることによりホルモンバランスが崩れ、FAGAになる危険性は高まる傾向にあるので、注意が必要でしょう。