頭髪が薄くなってきたことに気がつくと、不安になりますよね。鏡を見た時にM字型に髪が薄くなっていたら、帽子が手放せなくなったり、ヘアスタイルを変えることに躊躇したりするかもしれません。

本記事では、M字はげの原因からその予防法、さらには既に進行してしまった場合の治療法について説明しています。髪の悩みに向き合う第一歩として、ぜひご覧ください。

男性特有の進行性の脱毛症AGAについてはこちらの記事で特集しています。

この記事で説明する内容は?

M字はげとは?

M字はげとは?

M字はげとは、特に前頭部の髪の毛が後退していく男性型脱毛症の一種です。一般的には、生え際がM字型に形成され、おでこの左右が深く後退し、中央部は相対的に残るパターンを指します。

ここではM字はげの特徴と他の脱毛症の違いを解説します。

M字はげの特徴とは?

M字はげの特徴とは?

M字はげは、男性ホルモンの影響を強く受けるため、男性に多く見られます。特に20代後半から発症しやすいとされています。

進行すると髪の毛の量が全体的に減少し、最終的には頭頂部まで薄くなってしまう可能性があります。そのため、自分の頭皮の状態を常にチェックし、早期発見・早期対策が必要となります。

また、M字はげには特有の症状として、髪の毛の太さや色合いの変化も見られます。髪の毛が細く、色が薄くなるといった症状が現れた場合は、M字はげの進行を疑い、専門的な診断を受けることをおすすめします。

M字はげと女性・若年層の関係

M字はげは男性型脱毛症(AGA)の進行途中の状態の一つです。壮年性脱毛と言われることもあり、中年~高齢の男性にのみ該当する脱毛だと思われる方もいますが、必ずしもそうではありません。

AGAは若年の男性にも多く見られます。まだ若いし、と放置することで治療が難しい状態まで進行してしまうこともあるため、年齢にかかわらず脱毛が気になるときは早めにクリニック等を受診することが大切です。

女性のM字はげは男性型のM字はげとは異なるものであるケースがほとんどです。多いのは、ポニーテールによって髪の毛を後ろに引き続けた結果による牽引性脱毛です。女性も年齢とともに、またはストレスやホルモンバランスにより脱毛することがあります。もともと富士額だった方が年齢とともに髪の毛が細くなったことにより、M字はげのように見えてしまうケースもあります。

M字はげの前兆と早期サイン

M字はげをはじめとする男性型脱毛症(AGA)はゆっくりと進行していくため、日常の中では変化に気が付きにくいのが特徴です。あれ?と思ったときには進行していた、ということもあります。

M字はげの前兆として現れやすいサインは、生え際の毛が、細く、弱く、短く、コシがない状態になることです。M字の後退部分であるこめかみ付近の毛のボリュームがなくなり、産毛のような毛の割合が増えます。こめかみあたりの地肌が透けているような気がするときは、M字はげの進行が始まったサインです。

M字はげのハミルトン・ノーウッド分類とセルフチェック

ハミルトン・ノーウッドスケールは、男性の壮年性脱毛症の重症度を評価するための基準として用いられています。医療機関でも使われますが、脱毛の進行パターンには個人差もあるため、絶対的なものではありません。ですが、M字が見え始めた時点でAGAは確実に進行しているため、早めの受診が大切です。

  • Ⅰ型 生え際の後退などはほぼない。
  • Ⅱ型 こめかみ部分がわずかに後退し、軽いM字が現れる。
  • Ⅲ型 いわゆるM字はげが目立つようになる。
  • Ⅳ型 M字の中心部が細くなり、頭頂部も薄くなり始める。
  • Ⅴ型 M字の中心部の脱毛がすすみ、頭胸部の脱毛も進行する。
  • Ⅵ型 生え際付近の脱毛が進行しM字の中心部は薄くなり、頭頂部も脱毛が目立つ。
  • Ⅶ型 頭髪が側頭部と後頭部を残してほぼ脱毛してしまう。

脱毛の進行具合を確認するには、過去の写真との比較、身内による評価がおすすめです。毎日鏡を見ている自分では気が付かない変化にも気づけます。

M字はげと他の脱毛症の違い

M字はげと他の脱毛症の違い

他の脱毛症には円形脱毛症や拡散性脱毛症などがあります。これらの脱毛症は、M字はげとは異なる特徴や原因を持っています。

円形脱毛症は、頭皮や顔(ひげ)など、特定の部分で突然毛髪が抜け落ちてしまう症状を指します。一般的にはストレスや免疫異常が原因とされ、M字はげとは異なり男女問わず発症します。

また、拡散性脱毛症は、頭部全体の髪の毛が均一に薄くなる症状です。これは主に女性に見られ、ホルモンバランスの変動や鉄分不足が主な原因とされています。

いずれの症状も薄毛を引き起こす可能性がありますが、その原因や治療法はそれぞれ大きく異なります。M字はげの場合、生え際の後退が顕著であり、早期発見と治療が可能です。だからこそ、自分の頭皮の状態をよく観察し、何らかの変化があったときは専門家に相談することが重要と言えます。

生まれつきのM字型とAGAによるM字はげの違い・見分け方

M字型と似ている富士額。M字はげと見分けるポイントは、生まれつきであるか、そうでないかです。富士額の方は、子どもの時の写真をみても、高校時代の写真を見ても富士額です。M字はげは男性型脱毛症の一環であり、進行していくのが特徴です。徐々に毛が細くなり薄くなり、生え際が後退していきます。

ただし、生まれつき富士額の方も、M字はげになる可能性があることは忘れてはいけません。昔からこんな生え際だけど、もしかしてM字が深くなってきたかも?もしかして生え際が下がっているかも?頭頂部の毛も少し薄い?そんなときはクリニックに相談してみましょう。

M字はげの診断基準は?

M字はげの診断基準は、薄毛のパターン、頭髪の薄さ、生え際の後退具合などから決まります。皮膚科医や専門のヘアクリニックでの診察により、M字はげと診断されると、適切な治療法が提案されます。具体的な診断基準について詳しく見ていきましょう。

髪の毛の薄さ

M字はげの特徴的な症状として、髪の毛の薄さと特に生え際の後退が挙げられます。まず髪の毛の薄さですが、これは頭皮の見え方から判断することが多いです。髪が薄くなると頭皮が透けて見えやすくなります。

特に、鏡で頭頂部を見て、頭皮が以前よりも見えやすくなったと感じたら、薄毛の兆候の可能性があります。

生え際の後退

生え際の後退は特に額の両端、つまり「M」の形を形成する部分の毛髪が薄くなることで顕著になります。生え際が後退していくと、額が広くなり、頭頂部へと向かう毛髪が「M」の形を描くようになります。

これらの症状を自分で確認することも大切ですが、やはり専門家の意見を求めることが大切です。

専門医によるM字はげの診断

M字はげの診断は専門的な知識を持つ医師によって行われます。具体的には、皮膚科医や薄毛クリニックの医師が診察を担当します。

診察では、まず目視による頭皮のチェックから始まります。頭皮の状態、毛髪の薄さ、生え際の後退具合などを見て、M字はげの可能性を判断します。

より詳しい診断のために、専門的な機器を使って頭皮の状態を詳細に調査します。

毛髪の密度、毛根の状態、ヘアサイクル(毛周期)などを調査し、その結果からM字はげの進行度や将来の予想進行速度を評価します。

このように、専門的な診断を受けることで、より正確な現状の状態と適切な治療方法の選択が可能となります。頭髪の状態に不安がある場合や、薄毛が進行していると感じた場合には、早めの医療機関での診断を受けることをお勧めします。

M字はげの原因

 

M字はげの主な原因は大きく分けて以下があります。

  • 遺伝的な要素
  • ホルモンバランス
  • ライフスタイル

それぞれを詳しく説明します。

遺伝

遺伝的要素は、M字はげの一番大きな要因の一つです。両親や祖父母の中にM字はげの人がいると、その遺伝子を受け継ぐ可能性があり、その結果M字はげになる可能性が高まります。

ホルモンバランス

ホルモンバランスの影響も大きいと言われています。特に男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)は、頭皮の毛母細胞に影響を与え、髪の成長を妨げます。

このホルモンが過剰に分泌されたり、頭皮が過敏に反応すると、髪が細くなったり、成長期のサイクルが短くなったりするため、M字はげを引き起こす可能性があります。

ストレスや生活習慣

ストレスや生活習慣もM字はげの原因となることがあります。特に不規則な生活、睡眠不足、バランスの悪い食事、運動不足などの生活習慣が、頭皮や髪の健康に悪影響を与えることがあります。

ストレスも頭皮や毛髪の健康に大きな影響があります。ストレスが過度にかかると、ホルモンバランスが乱れ、体内の炎症反応が増加することがあります。これが頭皮環境を悪化させ、M字はげを引き起こす可能性があります。

そのため、健康的な生活習慣を維持し、ストレスを適切に管理することは、M字はげ予防に非常に重要な要素となります。

M字はげは治らない?

M字はげは治らない?

M字はげは、一度進行すると完全に元の状態に戻すのは困難とされています。ただし、M字はげの治療には時間がかかりますが、早期に治療を開始すれば、症状の進行を遅らせることが可能です。

また、自分のライフスタイルや髪の状態に適した治療法を見つけることも、成功のカギとなります。

改善のカギは早期発見と治療

M字はげの改善のための最大のカギは、早期に症状を発見し、適切な治療を始めることです。M字はげの初期症状は、髪が薄くなったり、髪質が変わったり、抜け毛が増えたりすることです。これらの症状を見つけたら、専門の医療機関に相談することが重要です。

現在、M字はげの治療法としては、薬物療法や外用薬、サプリメントの利用、食生活や生活習慣の見直しなどがあります。また、より直接的な治療法として、毛髪移植やレーザー治療などの医療技術も選択できます。

進行したM字はげの治療法

進行したM字はげの治療法

進行したM字はげの治療法は、薬による治療から医療手術までさまざまです。M字はげが進行している場合、治療は「薬」から「注入療法」、さらに「植毛手術」まで幅広い選択肢があります。大切なのは、生きている毛包がどれだけ残っているかで治療方針が大きく変わるという点です。

初期は薬中心で回復可能なことが多く、中期になれば注入療法も視野に、後期になれば植毛が進められることが多くなります。

M字はげの進行度や毛包の状態による治療選択

M字はげの進行度や毛包の状態によって選ぶべき治療法は異なります。

| 進行段階 | 毛包の状態 | おすすめ治療法 | 特徴・ポイント |

|—|—|—|—|

| 初期(生え際の産毛化・細毛化) | 毛包がまだ生きている | フィナステリド / ミノキシジル / 生活習慣改善 | 抜け毛抑制+発毛促進で回復が期待できる。早めの開始が重要。 |

| 中期(生え際が明確に後退) | 細い毛は残存 | 内服+外用+メソセラピー | 毛の太さを取り戻す治療。薬と注入治療の併用で効果UP。 |

| 後期(地肌が広く露出) | 毛包が機能低下または消失 | 植毛 ± 内服薬 | 新しい毛を作るのは困難。毛の移植で見た目改善を目指す段階。 |

まだ進行が少ない初期の段階であれば、生活習慣の改善と薬による発毛促進が効果的で、生きている毛包から発毛を促す治療がすすめられます。進行が進み、中期~後期の段階になっていると、自分で髪の毛を生やす方向からの治療は難しくなり、薬のみではなく、注入治療や植毛が選択の対象となります。

M字はげの主な治療法と特徴比較

| 治療法 | 効果 | 副作用リスク | 費用目安(月) | 向いている人 |

|—|—|—|—|—|

| フィナステリド(プロペシア含む) | 抜け毛の進行を止める | 性機能低下・肝機能障害 | 3,000〜8,000円 | M字が進行し始めた人 |

| ミノキシジル(外用/内服) | 発毛を促す | 頭痛・むくみ・血圧影響 | 外用:2,000〜7,000円 | 内服:5,000〜15,000円 | 髪を太く増やしたい人 |

| メソセラピー(成長因子注入) | 毛包活性化・太い毛を増やす | 赤み・痛み | 1回 10,000〜50,000円(週〜月1回) | 早く見た目を改善したい人 |

| 植毛手術 | 永続的に定着した毛を増やせる | 腫れ・費用高額 | 30万〜200万円(移植量による) | 生え際が大きく後退している人 |

フィナステリドやミノキシジル

フィナステリドやミノキシジルは、脱毛症の治療でよく用いられる医薬品です。

フィナステリドは内服薬で、男性ホルモンの一種であるDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑制し、毛髪の細胞がDHTの影響を受けにくくなる効果があります。その結果、髪の成長が促進され、薄毛の改善が期待できます。費用はクリニックでの処方で月5,000円程度が相場です。

性欲減退、勃起機能不全、精液量現象、乳房肥大などの副作用がよく知られており、それ以外にも痒みや蕁麻疹、重篤なものでは肝機能障害も報告されています。

一方、ミノキシジルは主に外用薬として用いられ(「リアップ」や「ロゲイン」と言った市販薬)、直接頭皮に塗布することで、毛母細胞の分裂を促進し、髪の成長を活性化させる効果があります。男性ホルモンに影響を与える薬ではありません。

主な副作用は血管が広がることによる頭痛、めまい、むくみなどです。不整脈も報告されています。血圧を下げる薬なので、血圧の低下に体が慣れるまで辛いことがあります。

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植毛手術

植毛手術は、自分の頭皮の後部や側部から採取した毛髪を、薄毛の部分に移植する手術のことです。近年、植毛手術の技術が進歩し、自然な見た目を実現できるようになっています。ただし、手術の費用が高くなる可能性があり、全ての人に適しているわけではないため、医師の専門的な意見を受けることが重要です。

注入療法(メソセラピー)

頭皮に直接、発毛有効成分を注入する治療法を注入療法、メソセラピーといいます。成長因子を注入する治療であれば、頭皮に注入された成分は毛母細胞を活性化させ、毛乳頭でケラチン(髪の主原料)の生成を助けたり、血行を促進したりします。多くの場合、内服薬、外服薬と併用され、薬だけでは届きにくい脱毛にもアプローチできる治療法として人気があります。

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M字はげのセルフケアと予防法

セルフケアでM字はげが完全に「治る」わけではありませんが、進行を遅らせたり、治療を行っている場合はその効果を最大化するために大きく役立ちます。重要なのは「継続できる習慣」を日常に組み込むことです。

食事で髪を育てる土台を作る

髪は主にタンパク質(ケラチン)で構成されているため、まずは十分なタンパク質の摂取が基本です。加えて、髪を作る代謝を助ける 亜鉛 や ビタミンB群 を意識しましょう。

おすすめの食材例

  • タンパク質:鶏むね肉、豚赤身、豆腐、卵、ヨーグルト
  • 亜鉛:牡蠣、赤身肉、アーモンド、納豆
  • ビタミンB群:玄米、まぐろ、レバー、卵

実践のポイント

  • 肉・魚・卵を「毎食1品」入れる
  • 忙しい日はプロテインで補助
  • 偏りを防ぐため、コンビニなら「サラダチキン+ゆで卵+ナッツ」などで代用可能

注意点

  • サプリだけに頼ると栄養バランスは崩れがち。基本は食事で。

質の高い睡眠は髪の成長時間

成長ホルモンは眠り始めてすぐの深い睡眠(ノンレム睡眠)中に分泌されます。睡眠の質を上げると、髪が太く育ちやすくなります。

実践ポイント

  • 就寝と起床の時間を「毎日できるだけ揃える」
  • 寝る1時間前からスマホを見ない
  • カフェインは夕方以降は控える
  • 可能であれば6〜7時間以上の睡眠を確保する

寝る前ルーティン例

  • 軽いストレッチ
  • 白湯を1杯
  • 部屋の照明を暗めにする

ストレスを溜めない習慣作り

ストレスが続くと自律神経が乱れ、血流が悪化し、髪に栄養が届きにくくなります。

取り入れやすいリラックス法

  • 10分のウォーキング
  • 湯船に浸かる(38~40℃で10分)
  • 深呼吸を3分だけ行う

注意点

  • タバコは血管を収縮させ、髪の成長を直接阻害するため避ける
  • 過度な飲酒は睡眠の質を下げるため控える

シャンプーと髪型で生え際の負担を減らす

洗浄力の強いシャンプーは皮脂を取りすぎ、頭皮の乾燥・炎症の原因になります。

正しいシャンプー方法

  1. 予洗いをしっかり(ぬるま湯で1分)
  2. シャンプーは手で泡立ててから頭皮へ
  3. 指の腹でやさしく円を描くように洗う
  4. ドライヤーは頭皮から乾かす

避けたい髪型

  • きつく後ろに引っ張るスタイル(結ぶ・固めるなど)
  • 強いパーマやブリーチを繰り返す髪型

おすすめ

  • 生え際にストレスがかからない自然な前髪スタイル

まとめ

この記事では、M字はげの原因や特徴について解説しました。また、不健康な生活習慣を見直し、健康的なライフスタイルを身につけることの重要性も説明しました。

M字はげ改善のカギは、早期発見と適切な治療です。

進行したM字はげには、フィナステリドやミノキシジルなどの内服薬と外用薬、植毛手術などの治療が有効です。

M字はげの進行が気になる方は、この記事で紹介した治療方法を参考に、専門的な医療機関に相談してみましょう。薄毛やM字はげの進行を抑えるためにも、今からできることを始めてみてはいかがでしょうか。